『顔も見たくない』と振られた御曹司に十年越しで執着されていました
 最初は勝手なことをするなと激怒した父だが、航生が『会社での成果は出すから認めてください』と説得した結果、しぶしぶながら認めてくれた。

「まぁ、あの家と会社、合わせて縁を切ってもよかったんだが。その方がすっきりする」

 大学時代に始めた投資で、一生生活に困らない程度の蓄えはある。大須賀家はもちろん、OGセラミックに愛着も忠誠心もない。
 本音交じりの冗談を零すと土方は大げさに目を瞬かせた。

「あっさり辞められたら困ります。巻き込んだのはあなたなんですから、ちゃんとトップに立って僕を社長秘書にしてくださいよ」

「ああ、そうだったな」

 航生は口の端を上げて、コーヒーに手を伸ばした。

 大須賀家の次期当主と、屋敷の使用人の間に生まれた航生。

 すでに妻を迎え、長男が生まれていたというのに父は母に手を出したのだ。身寄りがなかった母は雇い主に執拗に迫られて、拒み切れなかったらしい。

 航生が生まれると、母は屋敷の離れを与えられ、息子と共に暮らし始める。愛人として囲われたのだ。
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