『顔も見たくない』と振られた御曹司に十年越しで執着されていました
木村は『会社に弱みを握られているから、辞められないまま飼い殺しにされるんでしょうね』と言っていた。
坂本はセクハラやパワハラだけでなく、人事部長と結託して社内の機密情報を他社に渡そうとしていたらしい。それを証明するように、人事部長も坂本と同様の厳しい処分を受けたという。
紗月は、航生に坂本の処遇について尋ねてみた。
『適材適所に配置するように指示はしたよ。もういいじゃないか。君には関係のない、思い出す価値もない人間だ』
航生の返事は淡々としていたが、たしかにそのとおりだと思えた。紗月はもう気にするのはやめようと決めた。
「お先に失礼します」
周りに声を掛けつつ、オフィスを出た紗月はエレベーターホールに向かった。
ほどなくエレベーターの到着音がして扉が開く。中にはすでに数人が乗っていたが、その中に圧倒的な存在感を放つ人がいた。
(航生君だ)
こうして社内で顔を合わせるのは、これが初めてだ。咄嗟に軽く頭を下げると、航生は一瞬驚いた顔をしてから会釈を返してくれた。
(航生君、会社だとずいぶん雰囲気が違うんだな)
坂本はセクハラやパワハラだけでなく、人事部長と結託して社内の機密情報を他社に渡そうとしていたらしい。それを証明するように、人事部長も坂本と同様の厳しい処分を受けたという。
紗月は、航生に坂本の処遇について尋ねてみた。
『適材適所に配置するように指示はしたよ。もういいじゃないか。君には関係のない、思い出す価値もない人間だ』
航生の返事は淡々としていたが、たしかにそのとおりだと思えた。紗月はもう気にするのはやめようと決めた。
「お先に失礼します」
周りに声を掛けつつ、オフィスを出た紗月はエレベーターホールに向かった。
ほどなくエレベーターの到着音がして扉が開く。中にはすでに数人が乗っていたが、その中に圧倒的な存在感を放つ人がいた。
(航生君だ)
こうして社内で顔を合わせるのは、これが初めてだ。咄嗟に軽く頭を下げると、航生は一瞬驚いた顔をしてから会釈を返してくれた。
(航生君、会社だとずいぶん雰囲気が違うんだな)