『顔も見たくない』と振られた御曹司に十年越しで執着されていました
 今日の招待客は親族と友人が主だ。仕事がらみの出席者は航生の秘書の土方のみ。大須賀家、そして将来OGセラミックの跡取りと目される航生としてはだいぶ質素な式となる。

 紗月はそれでいいのかと心配したが、航生はまったく気にしていなかった。

『本当に俺たちを祝う気持ちのある人に、祝ってもらいたい』

 もちろんその中に理仁や典子は含まれていない。

 理仁は、航生の父が付けた弁護士に付き添われて警察に出頭し、逮捕された。結果的に不起訴になったのは、初犯のうえ、捜査に全面的に協力したのもあるが、社会的制裁を受けたことが大きい。

 勝一は事実を公表し、理仁は懲戒解雇、自身は大幅な減俸とした。一時はマスコミやSNSで騒がれたが、航生としては想定内の膿出しだったようだ。まもなく鎮静化し、今では株価も安定している。

 役員の費用処理がブラックボックスになっていた事実は問題視され、チェック体制が強化されたそうだ。

 理仁は現在、四国の親戚の家で暮らしており、監視付きの上、精神的カウンセリングを受けながら農業を手伝っている。
< 230 / 235 >

この作品をシェア

pagetop