主人公なんかじゃない
7・カラリス☆ステージへ③
……
…………
………………
無事、赤染くんの部屋にリカコとともに到着!
「……え、どういうこと? ここはだれの部屋?」
きょろきょろと見回すリカコ。さっきまでの私の部屋と違って、シンプルな男の子の部屋になったんだもんね。
私はリカコに向き直り、両手を広げた。
「ここは……なんと、赤染くんの部屋です!」
私のポーズと言葉を見聞きして、リカコはぽかんと口をあけた。
「……え、赤染くんって、眞緒が好きなあの?」
「でもって、これがリカコ」
私は赤染くんの本棚から『ひまわりダイアリー』の本を取り、表紙を見せる。赤染くんが『本棚から取って、リカコちゃんに見せていいよ』って言ってくれたんだ。
「え、なに? あたし?」
リカコが『ひまわりダイアリー』を手に取ろうとしたけど、私はそれをさせまいと胸に抱いた。あの日、『カラリス☆ステージ!』を奪い取った日のように。
「見せてよ!」
またイジワルをされた、と思っているような顔。もう、そんなに怒ったような悲しいような顔を見たくない。だから、この誤解をとくんだ。今だけは嫌われてもいいから……。
私は、あえて強い表情を作ってリカコの目をじっと見た。私は、やましいことなんかしてないもん!
「見せられない。見たら、もとの世界に戻っちゃうから」
「もとの世界……?」
「『カラリス☆ステージ!』を見せられなかったのも、同じ理由だよ。私はイジワルしたんじゃないの、リカコを悲しませたかったわけじゃないの」
私の必死のうったえに、リカコは混乱した様子で頭をかかえる。
「ぜんぜん、わかんない! いったん整理させて。本を開くと、その物語の中に行けるってこと?」
「そうだよ」
「本を開くとその世界に行けちゃうから、読めないってこと?」
「そう」
「じゃああのとき、無理やりあたしから本を取ったのも……?」
「うん、リカコが、『カラリス☆ステージ!』の物語の中に行かないようにするため」
「そうだったん、だ……?」
首をかたむけ、眉をひそめながら言う。いまいち納得はしていないみたいだけど、いちおうわかってくれたみたい。
「で、これから日本武道館に行きます」
「ブドーカン?」
「カラリスのライブ会場だよ! 急いで!」
「は? え? 今から?」
私たちは、カラリスのシェアハウスから飛び出す。オートロックだから鍵はいらないよ、と言われた。さすが、アイドルのおうち!
家の目の前にはタクシーが止まっていた。ハルトくんが事前に呼んでくれたんだ。
子どもだけでタクシーに乗るなんて初めて!
どきどきしながら、後部座席に乗り込む。行先もアプリで指定済みだから、スムーズに出発した。
日本武道館の裏口に到着。
タクシーを降りると、関係者用入り口に到着。開演には間に合った!
リカコは、タクシーの中でずっと「どういうこと?」とつぶやきながら首をひねっていた。私の話、あんまり納得できていないみたい……。当然だよね。
会場に入る。初めての日本武道館はすごく広くて、ちょっと怖いぐらい。アリーナ席、一階席、二階席があって、関係者用の席は一階席にあるんだって。
私はチケットに記載されている番号の席に座った。となりにリカコも座る。
「こういうライブを見るの、はじめて……」
興味深そうに、リカコが客席を見回している。私もどきどきを隠すように周りの人を観察する。
開園を待つファンの人たち。みんな、グッズを手にわくわくしているみたい。すでに、色とりどりのペンライトが輝いていた。五色の光が、星みたいにまたたいている。
いいな、グッズ……私もほしい!
買ったら、自分の世界に持って帰れるのかな? でも、もう買いに行く時間はなさそう……。
「ほんとうに、あのカラリスのライブなの?」
リカコの問いかけにうなずく。私も信じられないんだけどね。
「そうだよ。見てくれたら、信じられると思う」
会場が暗くなる。客席から悲鳴にも似た歓声があがる。
いよいよ、ライブがはじまる!
…………
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無事、赤染くんの部屋にリカコとともに到着!
「……え、どういうこと? ここはだれの部屋?」
きょろきょろと見回すリカコ。さっきまでの私の部屋と違って、シンプルな男の子の部屋になったんだもんね。
私はリカコに向き直り、両手を広げた。
「ここは……なんと、赤染くんの部屋です!」
私のポーズと言葉を見聞きして、リカコはぽかんと口をあけた。
「……え、赤染くんって、眞緒が好きなあの?」
「でもって、これがリカコ」
私は赤染くんの本棚から『ひまわりダイアリー』の本を取り、表紙を見せる。赤染くんが『本棚から取って、リカコちゃんに見せていいよ』って言ってくれたんだ。
「え、なに? あたし?」
リカコが『ひまわりダイアリー』を手に取ろうとしたけど、私はそれをさせまいと胸に抱いた。あの日、『カラリス☆ステージ!』を奪い取った日のように。
「見せてよ!」
またイジワルをされた、と思っているような顔。もう、そんなに怒ったような悲しいような顔を見たくない。だから、この誤解をとくんだ。今だけは嫌われてもいいから……。
私は、あえて強い表情を作ってリカコの目をじっと見た。私は、やましいことなんかしてないもん!
「見せられない。見たら、もとの世界に戻っちゃうから」
「もとの世界……?」
「『カラリス☆ステージ!』を見せられなかったのも、同じ理由だよ。私はイジワルしたんじゃないの、リカコを悲しませたかったわけじゃないの」
私の必死のうったえに、リカコは混乱した様子で頭をかかえる。
「ぜんぜん、わかんない! いったん整理させて。本を開くと、その物語の中に行けるってこと?」
「そうだよ」
「本を開くとその世界に行けちゃうから、読めないってこと?」
「そう」
「じゃああのとき、無理やりあたしから本を取ったのも……?」
「うん、リカコが、『カラリス☆ステージ!』の物語の中に行かないようにするため」
「そうだったん、だ……?」
首をかたむけ、眉をひそめながら言う。いまいち納得はしていないみたいだけど、いちおうわかってくれたみたい。
「で、これから日本武道館に行きます」
「ブドーカン?」
「カラリスのライブ会場だよ! 急いで!」
「は? え? 今から?」
私たちは、カラリスのシェアハウスから飛び出す。オートロックだから鍵はいらないよ、と言われた。さすが、アイドルのおうち!
家の目の前にはタクシーが止まっていた。ハルトくんが事前に呼んでくれたんだ。
子どもだけでタクシーに乗るなんて初めて!
どきどきしながら、後部座席に乗り込む。行先もアプリで指定済みだから、スムーズに出発した。
日本武道館の裏口に到着。
タクシーを降りると、関係者用入り口に到着。開演には間に合った!
リカコは、タクシーの中でずっと「どういうこと?」とつぶやきながら首をひねっていた。私の話、あんまり納得できていないみたい……。当然だよね。
会場に入る。初めての日本武道館はすごく広くて、ちょっと怖いぐらい。アリーナ席、一階席、二階席があって、関係者用の席は一階席にあるんだって。
私はチケットに記載されている番号の席に座った。となりにリカコも座る。
「こういうライブを見るの、はじめて……」
興味深そうに、リカコが客席を見回している。私もどきどきを隠すように周りの人を観察する。
開園を待つファンの人たち。みんな、グッズを手にわくわくしているみたい。すでに、色とりどりのペンライトが輝いていた。五色の光が、星みたいにまたたいている。
いいな、グッズ……私もほしい!
買ったら、自分の世界に持って帰れるのかな? でも、もう買いに行く時間はなさそう……。
「ほんとうに、あのカラリスのライブなの?」
リカコの問いかけにうなずく。私も信じられないんだけどね。
「そうだよ。見てくれたら、信じられると思う」
会場が暗くなる。客席から悲鳴にも似た歓声があがる。
いよいよ、ライブがはじまる!