主人公なんかじゃない
7・カラリス☆ステージへ④
ステージに、スポットライトが五つ。赤、黒(の代わりの深い青)、ピンク、紫、黄色。だれも立っていないステージに光だけがあたっている。
そして、音とともにステージ下から五人のメンバーがポップアップで飛び出してきた!
まるで羽の生えた天使が元気よく飛び出してきたみたい!
そのまま曲にあわせて踊り始める。
舞台上にあるLEDの大型ビジョンには、メンバーがアップで映された。
最初に映った桃原ハルトくんは、かわいらしくウィンク。
黄川田ミナトくんは、クールに人差し指をくちびるの前に立てる。
柴村シオンくんは、手を軽く握って犬のポーズ。
黒島タイガくんは、力強くガッツポーズ!
そして最後の赤染イオリくんはただカメラをまっすぐ見つめ……そしてニコッと笑った。
かかかかかかかっこいいいいいいいいい!
私は、あまりのかっこよさに気を失いそうになる。
みんなそれぞれ、すてきなところはある。
でもやっぱり私は、赤染くんが好き。
スクリーンにアップが映るたびに恥ずかしくて目をそらしたくなるし、ダンスでターンをするだけで胸がいっぱいになる。
そこにいてくれるだけで、存在してくれるだけで、こんなにも幸せな気持ちになれるんだ。
もちろん、ほかのメンバーもしっかり目に焼き付けているよ。
タイガくんが作った曲を聴くのもはじめて。想像通り……ううん、それ以上にかっこよくて!
ステージを包む光の渦。ステージを囲む客席の星。
すべてがまぶしくて、輝いていて、遠くに感じる。
アイドルって、やっぱりすごい。私が気安く近づいたらいけない人なんだ。
シェアハウスで、赤染くんと過ごしたこと。メンバーと過ごしたことが、やっぱり夢のよう。夢じゃなかったけど……でもやっぱり、私にとっては夢と同じくらい遠い。
幸せな気持ちになるのと平行して、どんどんとさみしくなっていく。
すごく、遠いよ……。
「それでは、最後の曲です!」
アンコールまで進んだライブ、最後の曲のイントロが流れた。
これは……『虹色のスタートライン』だ!
私が一番好きな、カラリスの曲。
落ち着いた曲ではあるけど、サビの壮大でありながら明るい曲で、ファンといっしょに盛り上がれる曲でもあるんだよ。
――がんばっているのに、それでもうなくいかない日々――
勉強をがんばっても、ただ勉強ができるだけの子になった。さえない毎日、自分を好きじゃない毎日。大好きなリカコへの嫉妬を押し殺す日々。家にいない親とのコミュニケーション不足に孤独を感じる夜。
そんな私が『カラリス☆ステージ!』に出会って、毎日が楽しくなった。
次は、赤染くんのソロ!
――つまらない日々の中で、君に出会った――
カメラ目線で、赤染くんが歌い上げる。
最後にふと、目線を少しだけ上にあげた。
一階席にある、関係者席。つまり、私の席に。
え、え、え、気のせいだよね?
この会場全員、「今こっち見た!」って錯覚するアレだよね?
やめよう、勘違い!
――君に出会えた今日が、虹色のスタートライン――
あわあわしている間に、曲が終わってしまった。せっかく好きな曲なのに……。
「ありがとうございました!」
カラリスメンバーが手を繋ぎ、バンザイをしてからふかぶかとお辞儀した。
いろいろな感情が心の中でぶつかり合う中、ライブは終わった。
会場が明るくなり、観客は退場していく。どの人もみんな、笑顔。幸せそうな笑顔に、私まで幸せな気持ちになる。こんなにたくさんの人を幸せにできるカラリス、すごい。
「リカコ、どうだった」
ぼんやりと、椅子に座ったままのリカコに声をかける。
「……ほんとに、いたね。カラリス」
「ね」
「眞緒の言うこと……信じるしかないみたいね」
リカコはちょっと肩をすくめて、ふふっと笑った。
「信じてくれるの?」
「だって、夢のわりにリアルだし、カラリスをぜんぜん知らないあたしが、こんなに細かい設定で考えられるわけがないかなって。あと……紫色の子、かっこよかったな……」
紫色の子――柴村シオンくんのこと、好きになっちゃった?
そういえば、赤染くんも「俺のことは好きにならないと思うけど」って言っていた。当たったね!
私はつい、にんまりしそうになる。
「リカコもカラリスを応援する?」
「え! ど、どうしようかな……」
きっぱりはっきりしたリカコがもじもじしている。
リカコのタイプは、赤染くんじゃなかったんだ。なんか、私ってばひとりで暴走していろんな人を傷つけてしまったのかも……。
「ごめんね、リカコ」
「え、なにが?」
「カラリスも好きだけど、リカコは大切な人で、かけがえのないお友だちだから……これからも、仲良くしてくれる?」
「……」
リカコは、言葉を発しない。
だめかな……さっきまでとは違うどきどきで手が震えてくる。
「カラリスが好きな眞緒のこと、別に嫌いじゃないし。謝らなくていいよ。あたしがつまんない嫉妬しちゃっただけだもん。こっちこそ、ごめん」
「リカコ……」
へへ、とリカコが照れ笑いする。
私も、えへへと笑った。
よかった、信じてくれた。仲直りできた。
実は、ライブにリカコを呼ぶっていう作戦は赤染くんが考えてくれたんだ。
そして、音とともにステージ下から五人のメンバーがポップアップで飛び出してきた!
まるで羽の生えた天使が元気よく飛び出してきたみたい!
そのまま曲にあわせて踊り始める。
舞台上にあるLEDの大型ビジョンには、メンバーがアップで映された。
最初に映った桃原ハルトくんは、かわいらしくウィンク。
黄川田ミナトくんは、クールに人差し指をくちびるの前に立てる。
柴村シオンくんは、手を軽く握って犬のポーズ。
黒島タイガくんは、力強くガッツポーズ!
そして最後の赤染イオリくんはただカメラをまっすぐ見つめ……そしてニコッと笑った。
かかかかかかかっこいいいいいいいいい!
私は、あまりのかっこよさに気を失いそうになる。
みんなそれぞれ、すてきなところはある。
でもやっぱり私は、赤染くんが好き。
スクリーンにアップが映るたびに恥ずかしくて目をそらしたくなるし、ダンスでターンをするだけで胸がいっぱいになる。
そこにいてくれるだけで、存在してくれるだけで、こんなにも幸せな気持ちになれるんだ。
もちろん、ほかのメンバーもしっかり目に焼き付けているよ。
タイガくんが作った曲を聴くのもはじめて。想像通り……ううん、それ以上にかっこよくて!
ステージを包む光の渦。ステージを囲む客席の星。
すべてがまぶしくて、輝いていて、遠くに感じる。
アイドルって、やっぱりすごい。私が気安く近づいたらいけない人なんだ。
シェアハウスで、赤染くんと過ごしたこと。メンバーと過ごしたことが、やっぱり夢のよう。夢じゃなかったけど……でもやっぱり、私にとっては夢と同じくらい遠い。
幸せな気持ちになるのと平行して、どんどんとさみしくなっていく。
すごく、遠いよ……。
「それでは、最後の曲です!」
アンコールまで進んだライブ、最後の曲のイントロが流れた。
これは……『虹色のスタートライン』だ!
私が一番好きな、カラリスの曲。
落ち着いた曲ではあるけど、サビの壮大でありながら明るい曲で、ファンといっしょに盛り上がれる曲でもあるんだよ。
――がんばっているのに、それでもうなくいかない日々――
勉強をがんばっても、ただ勉強ができるだけの子になった。さえない毎日、自分を好きじゃない毎日。大好きなリカコへの嫉妬を押し殺す日々。家にいない親とのコミュニケーション不足に孤独を感じる夜。
そんな私が『カラリス☆ステージ!』に出会って、毎日が楽しくなった。
次は、赤染くんのソロ!
――つまらない日々の中で、君に出会った――
カメラ目線で、赤染くんが歌い上げる。
最後にふと、目線を少しだけ上にあげた。
一階席にある、関係者席。つまり、私の席に。
え、え、え、気のせいだよね?
この会場全員、「今こっち見た!」って錯覚するアレだよね?
やめよう、勘違い!
――君に出会えた今日が、虹色のスタートライン――
あわあわしている間に、曲が終わってしまった。せっかく好きな曲なのに……。
「ありがとうございました!」
カラリスメンバーが手を繋ぎ、バンザイをしてからふかぶかとお辞儀した。
いろいろな感情が心の中でぶつかり合う中、ライブは終わった。
会場が明るくなり、観客は退場していく。どの人もみんな、笑顔。幸せそうな笑顔に、私まで幸せな気持ちになる。こんなにたくさんの人を幸せにできるカラリス、すごい。
「リカコ、どうだった」
ぼんやりと、椅子に座ったままのリカコに声をかける。
「……ほんとに、いたね。カラリス」
「ね」
「眞緒の言うこと……信じるしかないみたいね」
リカコはちょっと肩をすくめて、ふふっと笑った。
「信じてくれるの?」
「だって、夢のわりにリアルだし、カラリスをぜんぜん知らないあたしが、こんなに細かい設定で考えられるわけがないかなって。あと……紫色の子、かっこよかったな……」
紫色の子――柴村シオンくんのこと、好きになっちゃった?
そういえば、赤染くんも「俺のことは好きにならないと思うけど」って言っていた。当たったね!
私はつい、にんまりしそうになる。
「リカコもカラリスを応援する?」
「え! ど、どうしようかな……」
きっぱりはっきりしたリカコがもじもじしている。
リカコのタイプは、赤染くんじゃなかったんだ。なんか、私ってばひとりで暴走していろんな人を傷つけてしまったのかも……。
「ごめんね、リカコ」
「え、なにが?」
「カラリスも好きだけど、リカコは大切な人で、かけがえのないお友だちだから……これからも、仲良くしてくれる?」
「……」
リカコは、言葉を発しない。
だめかな……さっきまでとは違うどきどきで手が震えてくる。
「カラリスが好きな眞緒のこと、別に嫌いじゃないし。謝らなくていいよ。あたしがつまんない嫉妬しちゃっただけだもん。こっちこそ、ごめん」
「リカコ……」
へへ、とリカコが照れ笑いする。
私も、えへへと笑った。
よかった、信じてくれた。仲直りできた。
実は、ライブにリカコを呼ぶっていう作戦は赤染くんが考えてくれたんだ。