これは果たして恋なのか。
最近の流行りや気になっていることを軽く話した後、みぞれが話題を切り込んできた。

「それにしても、今日もひなぴー姉弟のファンすごかったねー。歓声が教室まで聞こえてきてたよ。さっすが王子!」

ニヤニヤする二人に、私は苦笑して肩をすくめた。

「わたし女なんだけどね。」
 わたしが王子と呼ばれる理由の一つは、きっと髪型だ。前髪は長いものの、私のようにボーイッシュな髪型をしている女子は珍しいだろう。

「いやでも王子味あるよ、ひなっち。性格イケメンだし。」
「ね、わかる。時々心臓やられるもん。」

さりげなくあだ名が変わっている。

そこでふと気づく。
「あれ、春夏シャンプー変えた?」

髪に顔を近づけて確かめたわたしに、春夏はぴしりと固まった。ん、どうしたんだろ。まあいっか。

「前のもよかったけど、これもいいね。可愛い。」

至近距離でにっこり笑ったわたしに、春夏は顔を真っ赤にして抗議した。

「そういうとこだよお!!わざとかお前!?」
「お、王子だ…。」

え、そう?みぞれは何故かおののいてるし。
「そういう手口で引っ掛けてるわけね…。」

それだけ聞くと詐欺師みたいだな。くすくす笑うわたしを、春夏は恨めしげにみてくる。

「顔真っ赤だよ?かわいいね。」
もうちょいからかおうとしたところで、

「姉さん」

弟の―─蒼の声がした。
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