愛なんて要らないから
「は、犯罪……ですよ」
「それは分かっていたんだけど、どうしてもまた美羽ちゃんに会いたくて」
私の髪をそっと指で掬った皓太さんと視線が合うと、びっくりするくらい優しい眼差しを向けられていて、思わず目を逸らしてしまった。
「何も言わずに先にホテルを出たのは、皓太さんの方じゃないですか……」
あの日、朝起きて目が覚めたら、隣に皓太さんはいなくて先に帰ってしまっていた。
それなのに、また会いたい、だなんて。
「その方が、美羽ちゃんの記憶に残るかなって。偶然を装って感動の再会ってシナリオのはずだったのに、まさかあんな現場に居合わせるなんてね」
「私の位置情報を毎日みていたなら、私がこの数週間、どこにいたのか分かっているんですよね?」
「うん。毎晩いろんなホテルにいたよね」
「私、そういう女なんです。誰とでも寝るし、皓太さんとの夜も、別に特別な夜だなんて思っていないので」
だからこれ以上、干渉しないでほしい。
私は皓太さんが勝手に入れたという位置情報アプリをアンインストールした。
これで、もう皓太さんに会うこともない。
これでいい。こうじゃなくちゃ、ダメなの。