愛なんて要らないから
「皓ちゃんが強引ですみません。よかったらドリンクを飲んで休んでくださいね」
申し訳なさそうに眉を下げて笑う陽さん。
このバーの雰囲気は、とても暖かくて居心地がいい。
来たのは二回目なのに、まるでずっと前から通っているお客のように温かく接してくれる陽さんの優しい陽だまりのような笑顔のおかげかもしれない。
そんな陽さんと皓太さんは、従兄弟同士であると聞いたけど、言われてみればたしかに笑い方が少し似ている気がする。
「こちらはホットのカルーアミルクです。アルコールは入っていないので、コーヒー牛乳のような感じで飲んでいただけると思います」
「ありがとうございます。いただきます」
カップに口をつけると、ミルクの優しくてまろやかな味が口の中にふわっと広がった。
「甘い方が好きかと思い、少しシロップを多めにしてしまいましたが、どうですか?」
「ちょうどいいです。すごく美味しい」
甘さがちょうど良くて飲みやすい。
身体中に温かいものが染み渡るのを感じた。
「本当に、美味しいです」
恋人の裏切りを知った日から、何を食べても何を飲んでも、味を感じることがなかった。
だけど、今まではこうして美味しいものを食べたり飲んだりするだけで、幸せだと思えていたことを思い出して。
幸せの探し方を間違えたなぁ……なんて。なんだかすごく後悔した。