愛なんて要らないから
悠は、私に会いに来る途中で事故を起こして東京に来ることができなかった。
そして私はその事故の連絡を、悠が運転する車に一緒に乗っていたという萌ちゃんから聞くことになる。
『悠が事故を起こして意識が戻らないの。悠と会う約束していたでしょ?だから一応、連絡しておこうと思って』
「あの、どうして、萌ちゃんが……?」
『私、悠の運転する車に乗ってたから。あのね、事故に遭う直前、悠に指輪を貰ったの』
「ゆ、びわ?」
『婚約指輪。私たち、そういうことだから。だから悠のいる病院には絶対に来ないでね?』
プツリと、一方的に電話が切られた。
待ち合わせしていたレストランの入口で待っていてもなかなか悠の姿が見えず、悠の番号から電話がかかってきたと思って出たら、萌ちゃんの声がしたことで、まず混乱をして。
事故、意識が戻らないという言葉に動揺して。
さらに婚約指輪という単語が出てきて、最早、何が何だか訳がわからなくて。
スマホを持つ手が震えて、偶然SNSのアプリに指が触れてしまい、画面に新しく更新されていた萌ちゃんの投稿が出てきた。
画面に出てきたのは、四角い箱に入った小さなダイヤがキラキラと輝く指輪の写真。
その写真を見て、萌ちゃんの話は全て本当のことで、ようやく自分の置かれている状況を理解することができた。