愛なんて要らないから


「わかりました。明日はお願いします」

 素直に皓太さんを頼ることにしたのは、いくら断っても、皓太さんは言い出したらそれを曲げない人だと思ったから。

 だけど、今はそんな皓太さんの強引さに助けられている気がする。

 私の返事を聞いた皓太さんは満足そうに笑うと、くるりと海から背を向けた。


「じゃあ、そろそろ帰ろうか」

「もういいんですか?」

「うん。ここに立てただけで満足。ありがとう」

 来た時より少しすっきりした表情をした皓太さんは、ふわりと笑って私の頭を撫でた。

 もう何度目かわからない、皓太さんのこの優しい手つきに、どこか安心感みたいなものを覚えてしまう。


 それから家まで送ってもらい、明日また迎えに来ると言って皓太さんは帰って行った。

 久しぶりに誰とも身体を重ねることなく自分の家に帰ってきて布団に入る夜。

 悲しみや寂しさが消えたわけではないし、さっき大和に蹴られた時にできた痣はまだ痛むけれど、丸くなって布団にくるまっていると眠くなってきた。

 私……一人でもちゃんと眠れる。


 そのまま目を閉じて、真っ先に頭の中に浮かんできたのは皓太さんの顔だった。

 一夜限りで終わると思っていたのに、また会ってしまったうえに、明日も会う約束をすることになってしまうなんて……。

 でも、皓太さんにはたくさん助けてもらったし、皓太さんがいたから悠に会いにいく決心がついたのだから、彼には感謝をしなければいけない。

 そんなことを思いながら、眠りについた。




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