愛なんて要らないから


「私は……悠のことを愛しています」

 中学生の頃の淡い恋。

 再会してから貰った、たくさんの愛。

 悠との恋愛は、私にとって全てが愛おしくて、苦しくて、かけがえのない時間で。

 こんなにも愛おしい恋は、もう二度と出来ないと思う。


「だけど、もしあの夜、皓太さんに出会えていなかったらって思うと少し怖くて……」

 もちろん、悠の事故がなければ出会うことのなかった私たちだけど。

 あの日がなかったら絶対に人生が交わることのなかった私たちが、こうして交わったことに意味があるのだとしたら。


「だから……私は……」

 私はもう、愛なんて要らないと思っていた。

 誰かからの愛を受け取ってしまったら、私はまたその愛を失うことに怯えなければいけないから。


 でも……もう遅いのかもしれない。既に私は、皓太さんを失いたくないという気持ちを抱いているから。

 それが恋愛感情なのかと聞かれたら、やっぱり少し違うのかもしれない。

 もしかしたら、ただ寂しさを埋めて欲しいだけなのかもしれない。


 だけど……でも……だから……を心の中で繰り返して、皓太さんの気持ちには上手く応えられなくて。

 今の気持ちを口に出すことも怖くて。

 きゅっと唇を噛んで、黙って俯くことしかできない。


「ごめん、その先はもう言わなくて良いよ」

 そんな言葉と共に、皓太さんにぎゅっと強く抱きしめられた。



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