私を言葉で抱く年下作家の溺愛
——答える必要がなかった。

「まあ」

田辺は肩をすくめる。どこか余裕のある顔で。

「俺には好都合だけどな」

「……はあ?」

思わず、声が漏れる。すると彼は、少しだけ口元を緩めた。

「なあ、梨沙。俺と、やり直さないか」

——その一言。昔なら、迷ったかもしれない。

でも今は。私は静かに視線を外した。

「……今更ですか」

短く、言う。それ以上の感情は、乗らない。

「おまえさ」

田辺が一歩近づく。

「いい女になったよ」

その言い方は、変わらない。

昔と同じ。少し上からで、少しだけ甘い。

そして——不意に、腕を回される。

後ろから、抱きしめられる。

一瞬だけ、体が強張る。でも、心は、動かない。
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