私を言葉で抱く年下作家の溺愛
言葉が出ない。ただ、見つめ返すしかできない。

——もう戻れない。ふと、そう思った。

昨日までの生活に。編集長としての距離に。

この人と出会う前の、自分に。

全部、戻れない。

でも——

「……ほんとに強引ね」

小さく呟く。

それでも、拒む言葉は出てこない。

むしろ、どこか、安心している自分がいる。

すると彼は、少しだけ笑った。

「今さらだろ」

そのまま、軽く抱き寄せられる。

「ほら」

少しだけ体を離して、顎でテーブルを示す。

「冷める前に食えよ」

その言い方が、あまりにも、普通で。あまりにも、自然で。

——ここが、私の場所みたいに思えてしまう。

この時点で、もう、答えは出ていた。

私は——この人の隣で、生きていく。
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