花咲く森のから騒ぎ
その時、小川で釣りをしていたチェルシーが、すぐさま駆け寄り。怖い顔で相手を睨みつけると腕を振り上げた。
『これでも喰らえ』
チェルシーが投石すると、顔に命中した。男は、額を押さえたまま悪人は呻き声を上げて痛みに悶絶した。その男の股間をチェルシーは蹴りあげた。
『……ぐほっ。このクソガキ!』
悪人は、それでも歯を剥き出しにして襲いかかろうとする。しかし、その時、バルモア家の下男がやって来たのである。
大人に見付かっては太刀打ちできないと判断したようである。
悪人は土手に停めていた馬車を飛ばしてと消えていった。
『マイラ! 大丈夫か!』
チェルシーは、転んだ私の傷の手当てをしながら悔しそうに呟いた。私とジョシュアは抱き合って泣いていた。私は怖くて足に力が入らなかった。涙が止まらなくなるくらいに震えていた。
あの時、ジョシュアの中味はチェルシーで、私を助けようと奮闘してくれたチェルシーはジョシュアだったのね。
「あの時だって、チェルシーを救ったのはジョシュアなのよ! わたしは無力だわ」
私は、ジョシュアに訴えていく。
「ジョシュア! 王子が惚れたのはジョシュアの心を持つチェルシーなのよ。あなたじゃないと王子に対応できないわよ」
すると、ジョシュアは重々しく頷いたのだ。
「そうなんだよ。こうなったのは全て俺の責任なんだ。チェルシーの外見と俺の知性の組み合わせって奇跡の賜物なんだよ。類まれな魅力が王子を虜にしたのさ」
「こんな時に、よくも、そんな自慢が出来るわね! わたしはね、王子がどんな人なのかも知らないのよ。チェルシーもそうよ!」
「そのことだけどな、一応、考えたんだ。俺が、王子の前でチェルシーと抱き合えばいいんじゃないのかな?」
「なっ! なんですって! 二人は義理の兄妹なのよ! そんなの不謹慎だわ」
「いやいや、たから、そういうフリをするだけだ。血がつながらない兄妹が、いつのまにか結ばれていたっていうことにしておけば、王子の周囲の者達が反対するんじゃないかな」
「そんなことをして、王子の怒りをかったらどうするのよ!」
「心配ないさ。あの王子は残酷なことはしないよ。父親のヘンリーとは違う。それは保証する」
言いながら、ジョシュアがこちらに手を伸ばして私の頬を撫でた。いや、正確にはチェルシーの顔だ。ふざけて口付けの真似事をしようとしている。鼻先が迫る。と、その時、人の気配がして、ガサッゴソッという草を踏みしめる音がした。
「見つけたわよ。あんた達、みんな揃ってここにいたのね!」
キーンと響く声だ。振り向かなくてもケイテイが、怖い顔で目を吊り上げているのか分かる。
「チェルシー、あんた、ジョシュアと付き合っているのね。だから、王子のもとに行く事を拒むのね!」
ケイティと下男のテイラーがジョシュアを見据えていた。これはマズイ。
「やめて! 乱暴なことはしないで!」
そう言ったけれども遅かった。ジョシュアは、使用人の男によって顔を殴られていたのである。
「ジョシュア! お。おまえ! なんということを! 大切なお嬢様を誘惑しようなんて、なんと恩知らずな奴なのじゃ!」
『これでも喰らえ』
チェルシーが投石すると、顔に命中した。男は、額を押さえたまま悪人は呻き声を上げて痛みに悶絶した。その男の股間をチェルシーは蹴りあげた。
『……ぐほっ。このクソガキ!』
悪人は、それでも歯を剥き出しにして襲いかかろうとする。しかし、その時、バルモア家の下男がやって来たのである。
大人に見付かっては太刀打ちできないと判断したようである。
悪人は土手に停めていた馬車を飛ばしてと消えていった。
『マイラ! 大丈夫か!』
チェルシーは、転んだ私の傷の手当てをしながら悔しそうに呟いた。私とジョシュアは抱き合って泣いていた。私は怖くて足に力が入らなかった。涙が止まらなくなるくらいに震えていた。
あの時、ジョシュアの中味はチェルシーで、私を助けようと奮闘してくれたチェルシーはジョシュアだったのね。
「あの時だって、チェルシーを救ったのはジョシュアなのよ! わたしは無力だわ」
私は、ジョシュアに訴えていく。
「ジョシュア! 王子が惚れたのはジョシュアの心を持つチェルシーなのよ。あなたじゃないと王子に対応できないわよ」
すると、ジョシュアは重々しく頷いたのだ。
「そうなんだよ。こうなったのは全て俺の責任なんだ。チェルシーの外見と俺の知性の組み合わせって奇跡の賜物なんだよ。類まれな魅力が王子を虜にしたのさ」
「こんな時に、よくも、そんな自慢が出来るわね! わたしはね、王子がどんな人なのかも知らないのよ。チェルシーもそうよ!」
「そのことだけどな、一応、考えたんだ。俺が、王子の前でチェルシーと抱き合えばいいんじゃないのかな?」
「なっ! なんですって! 二人は義理の兄妹なのよ! そんなの不謹慎だわ」
「いやいや、たから、そういうフリをするだけだ。血がつながらない兄妹が、いつのまにか結ばれていたっていうことにしておけば、王子の周囲の者達が反対するんじゃないかな」
「そんなことをして、王子の怒りをかったらどうするのよ!」
「心配ないさ。あの王子は残酷なことはしないよ。父親のヘンリーとは違う。それは保証する」
言いながら、ジョシュアがこちらに手を伸ばして私の頬を撫でた。いや、正確にはチェルシーの顔だ。ふざけて口付けの真似事をしようとしている。鼻先が迫る。と、その時、人の気配がして、ガサッゴソッという草を踏みしめる音がした。
「見つけたわよ。あんた達、みんな揃ってここにいたのね!」
キーンと響く声だ。振り向かなくてもケイテイが、怖い顔で目を吊り上げているのか分かる。
「チェルシー、あんた、ジョシュアと付き合っているのね。だから、王子のもとに行く事を拒むのね!」
ケイティと下男のテイラーがジョシュアを見据えていた。これはマズイ。
「やめて! 乱暴なことはしないで!」
そう言ったけれども遅かった。ジョシュアは、使用人の男によって顔を殴られていたのである。
「ジョシュア! お。おまえ! なんということを! 大切なお嬢様を誘惑しようなんて、なんと恩知らずな奴なのじゃ!」