花咲く森のから騒ぎ
王子もヤバイと思ったらしい。チェルシーを口説くのは一旦止めて鳥を追いかけようとした。まさに、その時だった。
真鍮飾りが施された重厚な扉がバーンと開いたのだ。
「王子! お聞きくださいませ! わたくし大切なお話がありますのよ! あらら……」
そこに現れたのは何とケイテイだった。紫色の豪華なドレスを着ている。
「きゃっ!」
ベランダにいた鳥が、ケイテイの声を聞いた直後、慌てたように急旋回している。そして、ケイテイの頭の上をヒュンッと通過していったのだ。腰を抜かしたように尻餅をついたケイティが大きく目を見開いている。
王子が鳥の行方を追いかけようとしてフラフラと駆けている。鳥は、王子を焦らすようにして気紛れに部屋を旋回する。しばらく回った後、僅かに開いた扉の隙間を縫って廊下への先へと行ってしまったではないか。
「待てーーー! ダビデ! どこに行く! 皆の者、手伝えーーー」
王子は側近たちを呼びながら鳥を追いかけている。
王子の勅令って奴には逆らえないので、みんな、間抜けな格好で鳥の尻を追いかけている。
「すまぬが、チェルシー、余は、鳥を捕まえねばならぬ! よって、しばし待ってくれ。また、後ほど連絡するからな」
「はい。王子様、どうぞゆっくりお探しくださいませ!」
私はホッとしながら去り行く王子を見送った。
果たして、ちゃんと鳥を捕まえることが出来るのだろうか?
王子は、ピョンピョンと飛び跳ねるようにして鳥に手を伸ばしている。届きそうで届かない。、届きそうになったかと思うと鳥は別の場所へと飛び立っていく。まるで鬼ごっこのようだ。賢い鳥が王子をからかっているかのようにも見える。
「あらあら、大変よね」
ケイティは、広々とした廊下を走り回る従者達の背中を眺めて吹き出している。そして、テーブルに置いてあったお菓子を呑気に頬張り始めた。
「あっらー、このマドレーヌ、すごく美味しいわね」
私は、こんなふうに、いきなり現れたケイティに対して尋ねずにはいられなかった。
「ケイティ! なんで、ここに!」
「あーら、そんなことは決まっているじゃない。あたしにも、ようやく真相が分かったのよ。あんたはマイラね。中身がマイラ。そうでしょう?」
「分かるの?」
もちろんよと言いたげに微笑みながら、涙目になっている私を見つめている。
「どうやら、危機一髪だったようね。さぁ、帰るわよ。マイラ!」
そう言うと、キビキビとした動作で私を救い出してくれたのである。ケイテイは王子の小姓に帰ると告げてから馬車に乗り込んでいく。しかし、さすがに、帰るのが早いと思ったようだ。侍従が聞き返してきた。
「えっ、もう、お帰りなのですか?」
王の別荘の門番たちも不思議そうに私とケイティを乗せた馬車を見つめているけれど、ケイティは、窓からわざわざ顔出すと澄ました顔で言い放った。
「王子は、ただいま、とてもお忙しいそうなので帰りますわね。どうか、王子によろしくお伝えくださいませ」
王子は逃げた鳥を探すことに忙しいのよ。ほらね。大騒動にっているわ。庭師が空を見上げて忙しない声を上げている。
「あっ、あそこだ。飛んでいくぞ!」
「あれを捕まえたら、褒美をもらえるかねしれないぜ」
真鍮飾りが施された重厚な扉がバーンと開いたのだ。
「王子! お聞きくださいませ! わたくし大切なお話がありますのよ! あらら……」
そこに現れたのは何とケイテイだった。紫色の豪華なドレスを着ている。
「きゃっ!」
ベランダにいた鳥が、ケイテイの声を聞いた直後、慌てたように急旋回している。そして、ケイテイの頭の上をヒュンッと通過していったのだ。腰を抜かしたように尻餅をついたケイティが大きく目を見開いている。
王子が鳥の行方を追いかけようとしてフラフラと駆けている。鳥は、王子を焦らすようにして気紛れに部屋を旋回する。しばらく回った後、僅かに開いた扉の隙間を縫って廊下への先へと行ってしまったではないか。
「待てーーー! ダビデ! どこに行く! 皆の者、手伝えーーー」
王子は側近たちを呼びながら鳥を追いかけている。
王子の勅令って奴には逆らえないので、みんな、間抜けな格好で鳥の尻を追いかけている。
「すまぬが、チェルシー、余は、鳥を捕まえねばならぬ! よって、しばし待ってくれ。また、後ほど連絡するからな」
「はい。王子様、どうぞゆっくりお探しくださいませ!」
私はホッとしながら去り行く王子を見送った。
果たして、ちゃんと鳥を捕まえることが出来るのだろうか?
王子は、ピョンピョンと飛び跳ねるようにして鳥に手を伸ばしている。届きそうで届かない。、届きそうになったかと思うと鳥は別の場所へと飛び立っていく。まるで鬼ごっこのようだ。賢い鳥が王子をからかっているかのようにも見える。
「あらあら、大変よね」
ケイティは、広々とした廊下を走り回る従者達の背中を眺めて吹き出している。そして、テーブルに置いてあったお菓子を呑気に頬張り始めた。
「あっらー、このマドレーヌ、すごく美味しいわね」
私は、こんなふうに、いきなり現れたケイティに対して尋ねずにはいられなかった。
「ケイティ! なんで、ここに!」
「あーら、そんなことは決まっているじゃない。あたしにも、ようやく真相が分かったのよ。あんたはマイラね。中身がマイラ。そうでしょう?」
「分かるの?」
もちろんよと言いたげに微笑みながら、涙目になっている私を見つめている。
「どうやら、危機一髪だったようね。さぁ、帰るわよ。マイラ!」
そう言うと、キビキビとした動作で私を救い出してくれたのである。ケイテイは王子の小姓に帰ると告げてから馬車に乗り込んでいく。しかし、さすがに、帰るのが早いと思ったようだ。侍従が聞き返してきた。
「えっ、もう、お帰りなのですか?」
王の別荘の門番たちも不思議そうに私とケイティを乗せた馬車を見つめているけれど、ケイティは、窓からわざわざ顔出すと澄ました顔で言い放った。
「王子は、ただいま、とてもお忙しいそうなので帰りますわね。どうか、王子によろしくお伝えくださいませ」
王子は逃げた鳥を探すことに忙しいのよ。ほらね。大騒動にっているわ。庭師が空を見上げて忙しない声を上げている。
「あっ、あそこだ。飛んでいくぞ!」
「あれを捕まえたら、褒美をもらえるかねしれないぜ」