初恋が終わらないのは、菖蒲くんのせい
そういえば菖蒲くんがこんなに話してくれるなんて、少し意外かもしれない。


この一週間で初めて菖蒲くんときちんと会話をした気がする。



「…あれ、それ…」



ふと、いつもはきちんと上まで閉められている菖蒲くんのワイシャツの第一ボタンが開けられていて、そこからあらわになっている首筋に赤い虫刺されのような跡を見つけ思わず声が漏れる。


虫刺され…ではないような、赤いそれ。菖蒲くんは滑らかな手つきで自分の首筋に触れると、軽く首を傾げた。


その拍子に前髪が揺れて、初めて菖蒲くんの瞳と目が合う。



「あー」



菖蒲くんは首筋に触れていた手とは反対の手で前髪をかきあげた。


突然現れた整った顔立ちに少し驚きながらも、不敵に笑った菖蒲くんの笑顔から目が離せなかった。



「これ、気づいちゃった?」


その言葉で、それがなんなのかわかってしまい、自分の頬がかっと赤くなるのを感じた。


隅っこにいる大人しくて私と同じような人だと、第一印象からそう思っていた。


だけど、首筋についたキスマークを指しながら不敵に笑う目の前の彼は、とても私が知る彼ではないようなそんな気がした。
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