初恋が終わらないのは、菖蒲くんのせい
気まずい空気を和ませようとしてくれたのか、間に入ってくれた朝倉くんにホッとする。


私の隣にいた男性はやっと少しだけ顔を上げると、消えそうな声で何かを呟いた。



「ん、なんだ?悪いがもう少しだけ大きな声で言ってくれるか?」


「…菖蒲怜(あやめれい)



代表して聞き返してくれた朝倉くんに、相変わらず目元の見えない男性がさっきよりは大きな声で名前を言った。



「菖蒲か。珍しい苗字だな。自己紹介も無事終了したってことで、この五人でコンテストに向けて一ヶ月間頑張ろうな」



早速リーダーシップを発揮して再び気まずくなりそうだった場をうまくまとめてくれた朝倉くんに、自然と女子メンバーから拍手が上がる。



「もう少しだけ時間があるし、軽く役割分担でもするか?今年のテーマは“初恋”だよな。これまた難しいテーマだな…」


「ねー。まさか恋愛系とは思ってなかったなー。でも私、デザインを考えるのとか好きだし得意だから、案ならたくさん出せるよ。それを描くってなったらまた別の話だけど」


「それなら私は絵を描くことが得意だしタブレットでもよくイラストを描くから、案を出してもらえれば形にできるかも」
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