あなたの隣に私は必要ですか?

10

 あれから両方の家族で改めて相談をし、最も直近で、きちんと結婚式が挙げられるような日取りを選んだ。

 ルートヴィッヒとミーア王女の関係性も、改めて陛下より両方の両親に説明された後、社交界には、陛下より直接説明をするのは返って波紋を呼ぶため、ミーア王女が無事に隣国に嫁ぐまでの間、ルートヴィッヒには見張り兼護衛の王命を下していたという噂を流した。
 それにより以前よりはルートヴィッヒの名誉が挽回されたようだ。

 ミーア王女はしばらくしてから、無事に隣国に向かった。
 輿入れ先が嫌な王太子の第三側妃から、権力争いとは無縁で、将来は臣下に下る事が決定している第四王子の正妃に代わった事で、ミーア王女も何とか受け入れたと聞いた。
 ちなみに第四王子はミーア王女より三歳年下らしいが、そこは割り切ったのだろう。
 ミーア王女を思うと気の毒だとは思うが、それでもルートヴィッヒは譲れないと、改めてアリーシアは思う。
 想いを伝えあってからのルートヴィッヒは、とにかくアリーシアに甘すぎた。
 寡黙で目つきの鋭いイメージのあったルートヴィッヒは、アリーシアの前でのみ、その姿は微塵もない。
 ただアリーシアを溺愛し、早く妻に迎えたいという思いが溢れている。
 その重すぎるルートヴィッヒの想いを、嬉しく思うアリーシアもまた、重症なのだとアリーシアは思う。
 そして本日もエルンザーレ侯爵家にて、アリーシアとルートヴィッヒは、共にお茶を楽しんでいた。
 ルートヴィッヒは、今までの時間を取り戻すかのように、暇さえあればアリーシアに会いに来ては二人の時間を楽しんでいる。
 どんなに会話をしても飽きず、話が尽きない事が何より嬉しい。
 そんな風にアリーシアは思っていた。

「今日のお茶も美味しいですわね。ルーイ」
「そうだろう? うちの領地で採れた新茶なんだ。アリーの家用も沢山あるから、ぜひ持ち帰って家でも飲んでほしい」
「まぁ、いつもありがとうございます」

 アリーシアは、お礼を言ったあと、ふいに以前ミーア王女にマウントを取られた時に聞いた、直接お茶を受け取る際に素敵なメッセージ付きだったという事を思い出す。

「そういえばルーイ。それには素敵なメッセージが付いているのでしょうか?」
「ん?」
「いえ、以前、茶葉を頂く際に素敵なメッセージ付きだったと聞いた事がありましたので」

 アリーシアの言葉に、不思議そうな表情でルートヴィッヒは首を傾げる。

「そんなサービスしていたかな? たまに大量発注をしてくれた取引先に、美味しくお茶を飲めるコツなどを書いた説明書を入れているとは聞いた事があるけれど、それのことだろうか?」

 その言葉に、アリーシアは吹き出してしまいそうになる。

(確かに素敵なメッセージと言えるのかもしれませんが……)

「ルーイ。先程の話はお忘れ下さいませ。わたくしの勘違いだったのかもしれません」
「そう? アリーがそういうなら、それでいいけど」
「はい。ルーイの領地のお茶を美味しく頂くコツは、これからこの侯爵家で学べますので。ルーイに満足してもらえるお茶が入れられるように、頑張りますね」
「アリー!」

 アリーシアの言葉に、ルートヴィッヒは感極まったようだ。
 この不器用で愛しき人の、今までの事を全て水に流すにはまだ少し時間がかかりそうだが、そこはチクチクとやり返していこうと思う。
そして、いつかこの人の隣に居ることが自然に思える日を迎えられたらとアリーシアは思うのであった。


 ~完~
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