婚約者に「いらない」と言われた私が、愛され妻を演じることになりました
 下着を外され、彼の眼前に胸が晒される。
 彼の大きな手が、胸を包み込む。恥ずかしく感じると同時に、その温もりは私を安堵させてもくれた。

 ゆっくりと揉み込まれ、それから指で先端を刺激される。
 さらにもう片方の先端を、彼の熱い舌が這っていく。

「ああ……」

 次々に与えられる快楽に、腰が勝手に浮いてしまう。
 たまらずシーツを握りしめて快感を逃がそうとしたが、上手くいかなかった。

 その間にも愛撫は止まらず、下腹部が疼きだす。
 思わず膝を擦り合わせると、私の脚の間に凌也さんが体を入れた。

 もうとっくに潤んでいる奥に触れられて、ひゅっと息をのむ。つい体が強張ったが、同時に胸もとに触れられているうちに、彼の指を抵抗なく受け入れていた。

 把握されている、私の弱い箇所ばかりを責められる。瞼をぎゅっと閉じて耐えていたが限界はもうすぐそこまで迫っているのがわかる。

「あっ、だめ……」

 激しい愛撫に、もう無理だと待ったをかけた。

「大丈夫だ、凪。俺にすべてを任せて」

 瞼の裏が白く染まり、手足の指先に力がこもる。

「やぁ、あっ、ああぁ……」

 絶頂を極め、全身に快楽の波が広がっていく。
 息が上手く吸えなくて口をはくはくさせる私の頬を、凌也さんがサラリとなでた。

 体を起こした彼が、服を雑に脱いで椅子に放る。
 再び私に覆いかぶさり、脚に手をかけた。

「凪」

 蕩けきった思考に、低く響く声が心地いい。

「愛してる」

 彼に向けて片腕を伸ばすと、指を絡ませるようにつないでくれた。
 凌也さんがゆっくりと腰を沈めていく。さっきまでとは比べ物にならないほど大きな刺激に、思わず息を詰めた。

 手を解いた凌也さんが、深く口づけてくれる。それに夢中になっているうちに、完全に彼を受け入れていた。

「はあ」

 私を抱き込み、首筋に顔を埋めて艶めいた吐息を漏らした。その小さな刺激に反応して、体がぶるっと震える。
 心地よい彼の重みと温もりに、今の私はもうひとりじゃないのだと実感する。

 もしあの日この人と出会っていなかったら、私は今でも孤独の中にいたのかかもしれない。
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