婚約者に「いらない」と言われた私が、愛され妻を演じることになりました
 やることは山のようにあり、何時に帰宅できるかも読めない。
 俺が遅くなると、凪は寝ずに待ち続けてしまう。それならば、今夜は会社に泊った方が彼女の邪魔にならないだろう。
 凪に心配をかけてしまうが、仕方がない。明日のディナーの約束は守りたいが、それもどうなるか不明だ。

「はあ」

 思わずため息を漏らすと、一真がチラリと視線を送ってきた。

 それから、副院長とはすぐに連絡をとることができた。
 聞けば、彼のあずかり知らぬところで事が動いていたらしい。まだ状況も整理しきれておらず、梶原医師について知らされたのも彼が病院を去った後だったという。副院長の方でも彼と連絡を取ろうとしているところで、とりあえず明日の朝一番で来てほしいという。

 くしくも三橋記念病院があるのは凪の実家の近くにあり、実川メディカルとも取引がある。というか、実川が幅を利かせていると言った方が正解か。

「俺も出向くから、予定の調整を頼む」

一真にそれだけ伝えると、担当者を呼んで状況把握と今後の対策を詰めた。




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