"Mr&Mrs Ogiwara detective office" 事件簿1
時はさかのぼって3時間ほど前、圭介はOGグループ本社の副社長室にいた。

副社長の弟悠介と社長の父親俊介も来ていた。

「悠介、お前副社長なんだから部下の恋愛関係でなんかで簡単に動いているんだ。居所を見つけるのは俺に任せて置けばいい物を…」

「だって、俺も兄さんみたいに探偵ごっこやってみたかったんだ。あの辺のどこかのマンションだって森脇が言うから一緒に運転手として連れて行ったんだ。ポストに名前がないかあの辺のマンションを虱潰しにして見つけようと思ったんだよ」

それを聞いて悠介の隣に座っていた社長の俊介は額に手を当てて天井を仰いだ。

「それで殺人事件に巻き込まれてどうするんだ。それにな探偵ごっこってなんだ。結花が聞いたら二度と会ってもらえないからな。帰ったらいいつけてやる。二度と荻原家の家には行きたくないとかって拗ねても知らないからな」

「おい、圭介それは困るよ。恵子も婆さんも結花ちゃんが大好きなんだからそんな事になったらきっと俺まで家に入れて貰えないよ。悠介、お前なんてこと言うんだ。二人とも真剣に探偵事務所をやっているんだからな。お遊びじゃないんだ」

と父親の俊介が悠介に文句を言っている。

「ごめん、兄さん結花ちゃんには言わないでよ。それよりどういうことか説明してよ」

そこで圭介は長坂千沙からの依頼で夫優弥の浮気相手を調べる事になり、たまたまK&Y research firmの副社長がこの女の結婚詐欺の事件を扱ったことがあり、身元が割れた事。

昨日男は優弥だけでなく1週間調べただけで6人いた事などを、写真も付けて長坂千沙に報告した。

そして今日優弥が女の所に乗り込んで金を返して貰ってくると言って、出かけたらマンションの前にパトカーが止まっていて野次馬から、大井小百合が殺されたらしいと聞いた事。

優弥は慌てて家に帰って圭介に大井小百合と交渉があった事を、警察に行ったほうが良いのか、わからなければその方が良いので警察が来るまで知らん顔をしたらいいのかと相談を受けた事を話した。

それだけなら問題はないのだが、優弥がこの界隈に似つかわしくない高級車が止まっていたので、念のためと写真を撮ったのが悠介の車だった。

どちらにしても、近隣の防犯カメラや車のカメラを調べられたらすぐにわかる事なので、先にわかってよかったが、こちらから先に警察に申し出たほうが良いと圭介は伝えに来たのだと言った。

何もしていなくても警察が事情を聞きにきたり、重要参考人招致とかになればOGグループの名前が出る。

だから社長にも同席してもらったのだ。

事情を説明する必要があるが、OGグループの名前が出ないようにする措置をしなければならない。

今の所猶予は2~3日と言う所だ。車のナンバーですぐにOGグループの副社長が使っている社用車だと分かる。

優弥が警察に届けるタイミングより前に話をもっていかなければならない。

そこに結花からラインが入り、鴻池副所長のかつての部下に担当の刑事に話を付けて貰えそうで、優弥の件は2日後圭介立会いの下に話をする事を了承してもらったらしい。

「2日しか猶予がなくなった。親父警視総監にこねある?悠介は今日の夜か明日の朝一で浅草署の担当刑事に話をしに行く。そこで、穏便に済ませてもらえるようなら親父の手を煩わせることは無いけど、一応連絡できるようにしておいて欲しい。」

「わかった。明日の夜赤坂の料亭に招待するよ。何もなければ飯奢るだけで済むし、動かなければいけないようなら頼み込む」

「うん、それで安心だ。刑事の中にはそう言う事を嫌って大企業だからって余計にかみついてくる奴もいるからな。話の分かる刑事ならいいんだけど…」

「親父も兄さんも申し訳ない。俺の浅慮の所為で迷惑かけて…結花ちゃんにもよく言っといてほしい。でも探偵ごっこの事は絶対言わないでね」

そう言って眉を下げてしょんぼりする悠介の背中をポンポンと叩いて、

「大丈夫だOGグループが付いてるから、心配するな。ところでその第二秘書は陽太の尾行中にも写真撮られているからな。悠介と一緒に来てもらわなければいけないので、もし金を渡しているならいつどこで幾ら渡したかまたどんな名目で渡したかもメモに書いておくように言っておいてくれ」

そう言って圭介はOGグループから帰ってきたのだ。

事務所に帰ると夏目まで来ていたのには驚いたが、鴻池が全員で時系列にすり合わせをして情報の共有をした方がいいと判断してくれたようだ。
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