"Mr&Mrs Ogiwara detective office" 事件簿1
そしてその夜家に帰ってから棚橋刑事の依頼の話を圭介から聞かされてお願いされた。

結花は役に立つなら何でもするけれど、何も嗅ぎ出せないかもしれないと言うと、それならそれでいいんだよと圭介は言った。

「ごめんな結花、また変な事に巻き込んで…悠介の件で棚橋刑事には借りがあるから、無下に断れなかったんだ」

そう言うと圭介は叱られたわんこのようにしょんぼりとして結花に抱き着いてきた。

「いいのよ。悠介さんには焼肉で散在させてしまったからチャラよ」

「う~~ん、結花優しい。愛してるよ」

そして横抱きにして寝室に連れて行かれた。そこまでがセットのようだなあと呆れながら圭介の首に手を回した結花だった。

3日後圭介と二人で大井小百合のマンションに行った。

まだ事件現場を表す黄色いKEEP OUTのテープが張られているので、部屋の中は死体発見の当時と全く変わっていないそうだ。

棚橋刑事はエントランスで待っていてくれた。2人は渡された手袋をして部屋に行った。

テープをはがして部屋に入ると2LDKの部屋でそんな広くはないが一人なら十分だろう。

まだ鉄のさびたようなにおいが残るものの、絨毯のシミの一部は珈琲のように見える。

リビングのテーブルに置かれていたであろうカップ&ソーサーが床に落ちていた。

珈琲が入っていたらしく、被害者が倒れてガラステーブルの角に当たった時にカップ&ソーサーが落ちたのだろう。

珈琲はカップにほとんど残っていなかった。絨毯に盛大にシミを作ってはいたが…

結花は棚橋刑事に断ってカップの匂いを嗅いでみた。普通のインスタント珈琲だった。

棚橋刑事が

「シンクにもマグカップが置かれています。中身はもう捨てられているようですが」

棚橋刑事についてシンクに行くと空のマグカップが倒れていて、シンクの排水溝の周りに珈琲の残りが少しあった。

もう排水溝の周りの液体は蒸発していて何かがこびりついているようになっていた。

マグカップを持ち上げて匂いを嗅いでみた。

「コーヒーに何か入ってますね。油っぽい何か嫌な臭いがします。薬みたいな…」

「ええっ、毒薬でしょうか?」

「そこまではわかりません。でもテーブルから落ちてしまったカップはこんな匂いはしなかったんですが、調べれば何が混入されていたかすぐにわかると思いますよ。珈琲の残りも排水溝のふちにあるので」

棚橋刑事はすぐに鑑識を呼んだ。

結花は大井小百合の寝室や衣裳部屋も見たが、そんな変な物の匂いはしなかった。

使っていただろう香水とヘアースプレーが5種類位あってそのまじりあった匂いに閉口した。

こういう強い匂いのある場所はスメラーには辛いものがある。

ただ結花はスーパースメラーほどではないので、鼻を効かせるのは自分でコントロールできる。

鑑識の調べで珈琲には“ニッカリンT”という毒性の強い乳剤の反応が出たらしい。

昔は殺虫剤として農家や果樹園で広く使われていたものだそうだ。かなり昔だそうだが…

今これを使える方が珍しいので手がかりになるようだ。

今は毒性が強く販売や使用を禁止されているようだ。
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