傷ついた王子は森の魔女に癒される
1 魔女との出会い
処刑台の中央に投げ出される。後ろ手に手かせをはめられていては抵抗もできない。
ボナマハト王国第二王子ファリエル・ボナマハトは、身をよじって起き上がった。膝を突いた途端、両側に立った兵士が「正面を向け」と蹴りつけてくる。拷問の傷が疼く。痛みと熱に、意識が霞む。
目の前は群衆で埋め尽くされている。怒号がとどろく。
式典で人々に手を振ったときは、みな眩しいものを見る目で見上げてきていた。今は憎しみにみなぎっている。――僕が直接、彼らを害したわけでもないのに。
雄たけびを上げる群衆の向こうに貴賓席が見える。
異母兄のグンナールが満足げな笑顔でこちらを見ている。
その隣には、ファリエルの元婚約者が座っている。扇子で口元を隠し、その上には三日月型に細められた目。
あの目付きだけは、最後までなじめなかった。
どこで間違ったのか――。
きっかけは、自分で作ってしまった。
でも後ろめたいことは何もない。
グンナールが合図を出す。
ファリエルの横に立つ兵士が剣を振り上げる。
固く目を閉じて、祈る。
せめて、あの子が無事でいてくれたら――。
剣が振り下ろされる気配。風切り音が迫る。
死を覚悟した、その瞬間。
ボナマハト王国第二王子ファリエル・ボナマハトは、身をよじって起き上がった。膝を突いた途端、両側に立った兵士が「正面を向け」と蹴りつけてくる。拷問の傷が疼く。痛みと熱に、意識が霞む。
目の前は群衆で埋め尽くされている。怒号がとどろく。
式典で人々に手を振ったときは、みな眩しいものを見る目で見上げてきていた。今は憎しみにみなぎっている。――僕が直接、彼らを害したわけでもないのに。
雄たけびを上げる群衆の向こうに貴賓席が見える。
異母兄のグンナールが満足げな笑顔でこちらを見ている。
その隣には、ファリエルの元婚約者が座っている。扇子で口元を隠し、その上には三日月型に細められた目。
あの目付きだけは、最後までなじめなかった。
どこで間違ったのか――。
きっかけは、自分で作ってしまった。
でも後ろめたいことは何もない。
グンナールが合図を出す。
ファリエルの横に立つ兵士が剣を振り上げる。
固く目を閉じて、祈る。
せめて、あの子が無事でいてくれたら――。
剣が振り下ろされる気配。風切り音が迫る。
死を覚悟した、その瞬間。