傷ついた王子は森の魔女に癒される
「コーデリアさんの仕掛けた条件は……『自ら愛を示すべし』ってなってました。ファリエルさん、キス……してくださって、ありがとうございました……!」

 ファリエルは目を見開いた。
 そうか、僕が想いを伝えたくてたまらずリリアナの唇を奪ったから――!

 心を晒した恥ずかしさが霞むほどに、愛おしさが心に溢れ出す。
 困った風な照れ顔をするリリアナを抱き寄せて、頬を撫でた。

「何度だってするさ。リリアナ、これからもたくさん、キスしよう」
「えっ! あっ、はっはいぃ……」

 リリアナが弱々しい声を洩らしながらふらふらと揺れ出す。そのまま後ろに倒れそうになった。とっさに背中を支えて姿勢を戻してやる。
 小さな顎に手を添えて、もう一度キスしようとしたその瞬間。


「はあ……。人間ってのは本当に、世話が焼けるわね」
「――!」


 空から声が降ってきた。素早く立ち上がり剣の柄を握る。
 見上げた先には――ほうきに腰かけたコーデリアが、足を組んで頬杖を突いていた。
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