傷ついた王子は森の魔女に癒される
(いや、この言い方は重いと思われるか? リリアナの負担にならないような言い方は……)

 とファリエルが迷っていると、リリアナが意を決したように顔を上げた。
 澄んだ青い瞳がきらきらと輝いている。

「あのっ、もしよかったら……、一緒に街へ行きませんか?」
「街……?」

 リリアナからの、予想外の誘いに目を見開く。
 そんなファリエルを見上げたリリアナが、笑顔で大きくうなずいた。

「はい、ひとりだとちょっと怖いのでほとんど行かないんですけど、ファリエルさんがいてくれたら心強いです!」


(街へ出かける、か……)

 リリアナの外出に同行したいのはやまやまだった。
 でも、もし追っ手に見つかってしまったらリリアナを巻き込むことになる。
 それだけは避けたい。

「……できれば変装していきたいものだな」
「あ、それはもちろん。私もこの格好のままじゃ怖くて森から出られないですよ」
「そうか。変装道具を持っているのか?」
「見た目を変えられる薬があるんです。試しに髪の色と長さを変えてみますか? 例えば男性なら、長くするだけでも意外と女性だって思い込んでもらえたりしますよ」
「なるほど。髪を長く、か……」

 髪を伸ばしたことは、今まで一度もない。

(見苦しくならなければいいのだが)

 違和感が生じるかどうかは、薬の性能とは関係ない。
 ファリエルは少しだけ不安を感じながら、リリアナに続いて家に入った。
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