傷ついた王子は森の魔女に癒される
「すみません、ファリエルさん。私、ジャーヴィスさんから話を聞いて知ってました、ボナマハト王国が滅亡したこと」
「……謝らなくていい」

 微かに首を振ってみせる。

 処刑された直後、リリアナに召喚されて。
 そのときにすぐ『祖国はもう滅亡している』と聞かされたとしたら、到底受け入れられなかっただろう。

 君を責めたいわけじゃない――顔を綻ばせてみせたくても、こわばった頬はどうしようもなかった。



 顔を上げ、改めて祖国の惨状を目の当たりにする。
 何が起きたかは、おおよそ想像は付く。

 王位を継いだであろう兄グンナールに政治の才はなかった。だからこそ父は、革命派からも御しづらい(・・・・・)と評されていた僕に王位を継がせたかったのだ。
 でも僕が処刑されてしまった結果、兄が王位を継ぎ、革命派が王権を打倒したのだろう。
 そして革命派の中に、国を治めて行けるほどの統率力がある者は居なかった。

 無政府状態に陥り、国民が逃げ出し。
 ボナマハト王国は滅亡した――。



 廃墟を眺め渡しながら歩く。後ろからリリアナがついてくる。
 見覚えのある街並みに、胸が締めつけられる。

 物売りの呼び込み、子供たちのはしゃぐ声。
 つい先日まで、そこは活気あふれる場所だった。


 建物の残骸の散らばる大通りを進んでいく。人影は全く見当たらない。
 しばらく行くと、王都の中央広場に到着した。

「っ……!」

 全身の血が凍る錯覚。
 見覚えのある処刑台がそこにはあった。
< 69 / 117 >

この作品をシェア

pagetop