キスしない約束の恋
第6話 知らない私、知っている場所
――行きたくない。
校門の前で、足が止まる。
見慣れたはずの景色。
毎日通っていた場所。
なのに。
今日は、全然違う。
「……無理」
思わず呟く。
だって。
見られる。
絶対、見られる。
昨日までとは、違うから。
「何が?」
隣から声。
びくっと肩が揺れる。
「……学校、です」
「当たり前だろ」
神崎くんは、いつも通りの顔で言う。
「行くぞ」
「……」
逃げたい。
でも。
昨日の言葉が、頭に残っている。
――戻んなよ。
ぎゅっと手を握る。
「……はい」
小さく頷く。
一歩。
校門をくぐる。
――ざわ。
空気が、変わった。
「え、誰あれ」
「他校?」
「めっちゃ可愛くない?」
声が、聞こえる。
ひそひそじゃない。
ちゃんと、聞こえる。
「……っ」
怖い。
足が止まりそうになる。
「前見ろ」
低い声。
隣を見ると。
神崎くんが、前を見たまま言った。
「気にすんな」
それだけ。
でも。
「……はい」
少しだけ、足が動いた。
教室に入る。
一瞬。
空気が止まる。
「……え?」
誰かの声。
「……誰?」
ざわざわと、広がる。
当然だと思う。
だって。
昨日までの私は。
ここにはいない。
席に向かう。
でも。
「……あれ?」
近くの席の子が、じっと見てくる。
「ねえ」
声をかけられる。
逃げたい。
「……はい」
でも、逃げられない。
「その席、〇〇の席だよ?」
――その名前。
一瞬、心臓が止まる。
私の名前。
「……」
言えない。
言ったら。
全部、戻る気がする。
怖い。
「……違います」
思わず、そう言っていた。
「え?」
空気が、揺れる。
「……すみません」
そのまま、席に座る。
視線が、刺さる。
ざわざわが、止まらない。
「おはよー」
軽い声が、教室に響く。
一瞬で、空気が変わる。
「神崎くん!」
「今日もかっこいい〜」
女子の声。
いつもの光景。
なのに。
「……っ」
胸が、ざわつく。
近づいてくる女子たち。
距離が近い。
触れている。
それを見て。
なぜか、目を逸らしてしまう。
「おい」
低い声。
一瞬で、空気が変わる。
「邪魔」
笑ってない声。
女子たちが、ぴたっと止まる。
「今、話しかけんな」
「え……」
「なんで?」
「こっち来い」
そう言って。
腕を掴まれる。
「……っ」
引き寄せられる。
近い。
視線が、一気に集まる。
「神崎くん、その子誰!?」
女子の声。
刺さる。
怖い。
でも。
「関係ねぇだろ」
短く言い切る。
「俺のだから」
――え。
一瞬、思考が止まる。
教室も、静まる。
空気が、変わる。
「……っ」
何も言えない。
ただ。
心臓だけが、うるさい。
「ほら」
小さく、耳元で。
「前見ろ」
その声に。
ゆっくり、顔を上げる。
――ここは、同じ学校。
でも。
昨日とは、違う。
知らない私で、立っている。
そのことが。
少しだけ。
怖くて。
でも。
少しだけ。
嬉しかった。
校門の前で、足が止まる。
見慣れたはずの景色。
毎日通っていた場所。
なのに。
今日は、全然違う。
「……無理」
思わず呟く。
だって。
見られる。
絶対、見られる。
昨日までとは、違うから。
「何が?」
隣から声。
びくっと肩が揺れる。
「……学校、です」
「当たり前だろ」
神崎くんは、いつも通りの顔で言う。
「行くぞ」
「……」
逃げたい。
でも。
昨日の言葉が、頭に残っている。
――戻んなよ。
ぎゅっと手を握る。
「……はい」
小さく頷く。
一歩。
校門をくぐる。
――ざわ。
空気が、変わった。
「え、誰あれ」
「他校?」
「めっちゃ可愛くない?」
声が、聞こえる。
ひそひそじゃない。
ちゃんと、聞こえる。
「……っ」
怖い。
足が止まりそうになる。
「前見ろ」
低い声。
隣を見ると。
神崎くんが、前を見たまま言った。
「気にすんな」
それだけ。
でも。
「……はい」
少しだけ、足が動いた。
教室に入る。
一瞬。
空気が止まる。
「……え?」
誰かの声。
「……誰?」
ざわざわと、広がる。
当然だと思う。
だって。
昨日までの私は。
ここにはいない。
席に向かう。
でも。
「……あれ?」
近くの席の子が、じっと見てくる。
「ねえ」
声をかけられる。
逃げたい。
「……はい」
でも、逃げられない。
「その席、〇〇の席だよ?」
――その名前。
一瞬、心臓が止まる。
私の名前。
「……」
言えない。
言ったら。
全部、戻る気がする。
怖い。
「……違います」
思わず、そう言っていた。
「え?」
空気が、揺れる。
「……すみません」
そのまま、席に座る。
視線が、刺さる。
ざわざわが、止まらない。
「おはよー」
軽い声が、教室に響く。
一瞬で、空気が変わる。
「神崎くん!」
「今日もかっこいい〜」
女子の声。
いつもの光景。
なのに。
「……っ」
胸が、ざわつく。
近づいてくる女子たち。
距離が近い。
触れている。
それを見て。
なぜか、目を逸らしてしまう。
「おい」
低い声。
一瞬で、空気が変わる。
「邪魔」
笑ってない声。
女子たちが、ぴたっと止まる。
「今、話しかけんな」
「え……」
「なんで?」
「こっち来い」
そう言って。
腕を掴まれる。
「……っ」
引き寄せられる。
近い。
視線が、一気に集まる。
「神崎くん、その子誰!?」
女子の声。
刺さる。
怖い。
でも。
「関係ねぇだろ」
短く言い切る。
「俺のだから」
――え。
一瞬、思考が止まる。
教室も、静まる。
空気が、変わる。
「……っ」
何も言えない。
ただ。
心臓だけが、うるさい。
「ほら」
小さく、耳元で。
「前見ろ」
その声に。
ゆっくり、顔を上げる。
――ここは、同じ学校。
でも。
昨日とは、違う。
知らない私で、立っている。
そのことが。
少しだけ。
怖くて。
でも。
少しだけ。
嬉しかった。