キスしない約束の恋
第9話 近づけない距離
――怖い。
帰り道。
ずっと、考えている。
昼のこと。
神崎くんのこと。
先輩の言葉。
「……最低」
ぽつりと呟く。
あの光景。
思い出すだけで、胸がざわつく。
なのに。
「……なんで」
あのときの言葉も、思い出す。
――何もしねえ。
――大切にしたい。
「……わかんない」
どっちが本当なのか。
いや。
どっちも、本当なのかもしれない。
それが、余計に怖い。
次の日。
教室に入る。
視線が、また集まる。
でも。
昨日とは、違う。
ざわつきの中に。
別の空気が混ざっている。
「神崎くん、最近さ」
「女の子と話してなくない?」
「ほんとだ」
「全部切ったって噂」
「……え」
思わず、顔を上げる。
教室の後ろ。
神崎くんがいる。
でも。
誰とも話していない。
ひとりで、座っている。
昨日までとは、違う。
「……」
目が合う。
すぐに、逸らす。
見てはいけない気がした。
関わってはいけない気がした。
だって。
あの人は。
そういう人だから。
でも。
その日、一日。
ずっと、視線を感じた。
見られている。
まっすぐに。
でも。
何も、してこない。
近づいてもこない。
触れてもこない。
――それが。
少しだけ。
寂しいと、思ってしまった。
「……っ」
違う。
そんなはずない。
軽蔑してる。
嫌い。
関わりたくない。
なのに。
どうして。
こんなに。
気になるのか。
わからなかった。
ただ。
距離は、確実に。
近づいているのに。
触れられないまま。
そのまま、時間だけが過ぎていく。
そんな関係が。
始まっていた。
帰り道。
ずっと、考えている。
昼のこと。
神崎くんのこと。
先輩の言葉。
「……最低」
ぽつりと呟く。
あの光景。
思い出すだけで、胸がざわつく。
なのに。
「……なんで」
あのときの言葉も、思い出す。
――何もしねえ。
――大切にしたい。
「……わかんない」
どっちが本当なのか。
いや。
どっちも、本当なのかもしれない。
それが、余計に怖い。
次の日。
教室に入る。
視線が、また集まる。
でも。
昨日とは、違う。
ざわつきの中に。
別の空気が混ざっている。
「神崎くん、最近さ」
「女の子と話してなくない?」
「ほんとだ」
「全部切ったって噂」
「……え」
思わず、顔を上げる。
教室の後ろ。
神崎くんがいる。
でも。
誰とも話していない。
ひとりで、座っている。
昨日までとは、違う。
「……」
目が合う。
すぐに、逸らす。
見てはいけない気がした。
関わってはいけない気がした。
だって。
あの人は。
そういう人だから。
でも。
その日、一日。
ずっと、視線を感じた。
見られている。
まっすぐに。
でも。
何も、してこない。
近づいてもこない。
触れてもこない。
――それが。
少しだけ。
寂しいと、思ってしまった。
「……っ」
違う。
そんなはずない。
軽蔑してる。
嫌い。
関わりたくない。
なのに。
どうして。
こんなに。
気になるのか。
わからなかった。
ただ。
距離は、確実に。
近づいているのに。
触れられないまま。
そのまま、時間だけが過ぎていく。
そんな関係が。
始まっていた。