没落令嬢ですが偵察の一夜をきっかけに皇太子に溺愛されています
1章 最後の夜会と指名
今夜の夜会の音楽は、いつもより遠く聞こえた。
「リゼリア、婚約も決まっていないのに申し訳ない。夜会は今夜が最後だ」
父の声はどこか弱々しく、それでも気丈に振る舞おうとしているのが分かる。
「いいのよ、お父様。仕方ないわ」
そう微笑んでみせたけれど、胸の奥では何かが静かに崩れていた。
ヴァルディス公爵家は、終わる。
父が始めた事業の失敗で、すべてを失った。
煌びやかなシャンデリアの下、着飾った貴族たちが踊り、笑い、囁き合う。
その中にいる自分だけが、もう“こちら側の人間ではない”と知っている。
「破綻したんですって。お父様の会社が」
「貴族が下手に商売に手を出すからよ」
「リゼリア、婚約も決まっていないのに申し訳ない。夜会は今夜が最後だ」
父の声はどこか弱々しく、それでも気丈に振る舞おうとしているのが分かる。
「いいのよ、お父様。仕方ないわ」
そう微笑んでみせたけれど、胸の奥では何かが静かに崩れていた。
ヴァルディス公爵家は、終わる。
父が始めた事業の失敗で、すべてを失った。
煌びやかなシャンデリアの下、着飾った貴族たちが踊り、笑い、囁き合う。
その中にいる自分だけが、もう“こちら側の人間ではない”と知っている。
「破綻したんですって。お父様の会社が」
「貴族が下手に商売に手を出すからよ」
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