没落令嬢ですが偵察の一夜をきっかけに皇太子に溺愛されています
「大丈夫か、リゼリア」

「はい……アルヴィオン様……」

初めて、その名を口にした。

呼んだ瞬間、胸が強く締めつけられる。

「……もう一度」

低く促される。

「アルヴィオン様……」

名前を重ねるたびに、距離がさらに近づく。

その時――彼の動きが、ふと止まる。

その瞬間、アルヴィオン様の熱が私の中を満たした。

「あ……」

言葉にならない感覚に、息が揺れる。

逃げることはもうできない。

けれど、不思議と怖くはなかった。

「リゼリア……俺……」

「いいんです」

私はアルヴィオン様をぎゅっと抱きしめた。

「アルヴィオン様の命なら、喜んで受け止めます」

アルヴィオン様は、激しく私の唇を奪った。

「だったら、もう遠慮しないからな」

その夜、アルヴィオン様の温もりに包まれた夜になった。
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