没落令嬢ですが偵察の一夜をきっかけに皇太子に溺愛されています
「ああ……君が」

アルヴィオン様は一瞬だけ目を細めると、私をそっと覆うように庇った。

布で隠しながら、自らはゆっくりと身を起こす。

そして、無造作にシャツを羽織った。

その仕草に、まったく動揺はない。

「よもや、皇太子の夜伽に無断で踏み込むとはな」

静かに告げる。

その声には、わずかな苛立ちが含まれていた。

「文句なら、こちらにもあります」

レオニー公爵の声が震える。

「一国の皇太子ともあろう方が……私の婚約者とこのような関係を持つとは」

空気が張り詰める。

だが――

「このような関係、か」

アルヴィオン様は、あくまで落ち着いていた。

「言葉を選べ。これは――」

一歩、前に出る。

「俺とリゼリア嬢の愛の証だ」
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