没落令嬢ですが偵察の一夜をきっかけに皇太子に溺愛されています
「……リゼリア」

父が、静かに私を見つめる。

その目には、戸惑いと――わずかな確信があった。

「これは……」

言いかけて、言葉を飲み込む。

だが、もう分かっている。

この奇跡のような出来事の裏にいるのは、ただ一人。

(どうして、そこまで……)

胸が締めつけられる。嬉しいのに、苦しい。

こんなにも想われていることが――

怖いほどに、伝わってくる。

私はそっと、胸元を押さえた。

そこには、確かに残っている。

彼の温もりと、言葉と――揺るがない想いが。

そしてその日の夕刻――アルヴィオン様は、約束どおり姿を現した。

「ヴァルディス公爵殿。夕食にお招きいただき、感謝する」

落ち着いた声で頭を下げる。
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