没落令嬢ですが偵察の一夜をきっかけに皇太子に溺愛されています
「私たちの名が……この国の歴史に刻まれるのね」

小さく呟くと、彼は穏やかに頷いた。

「そうだな」

そのまま、そっと抱き寄せられる。

指輪の輝きと、彼の温もりが重なる。

髪を優しく撫でられながら、胸の奥がじんわりと満たされていく。

「仲良く暮らそう」

耳元で落とされる、柔らかな言葉。

「はい。末永く」

私は、迷いなく答えた。

これから先、どんな未来が待っていようと――

この人となら、歩いていける。

そう、確信しながら。
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