没落令嬢ですが偵察の一夜をきっかけに皇太子に溺愛されています
そしてその夜――

私は初めて、アルヴィオン様の寝室に足を踏み入れた。

高い天井と、重厚な装飾。

中央に置かれたベッドは、まるでこの国の象徴のように厳かで。

思わず、息を呑む。

「俺には……リゼリアの部屋のベッドの方がお似合いだけどな」

隣で、彼がくすりと笑う。

「またそんなことを言って……」

私は小さく返しながら、ネグリジェの裾を整えた。

そして、そっと彼の隣へと横になる。

「どう考えても、アルヴィオン様にはこのベッドが似合いますよ」

そう言うと――彼は、何も言わずに私を抱き寄せた。

温かな腕に包まれる。

「これからは……二人のベッドだ」

耳元で囁かれる言葉。

胸の奥が、じんわりと満ちていく。
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