没落令嬢ですが偵察の一夜をきっかけに皇太子に溺愛されています
(……本当に)

すべてが、ここに繋がっている。

あの日の夜会も。偵察の夜も。

離れられなかった日々も。

そのすべてが――この場所へと続いていた。

優しく口づけられる。

触れられるたびに、安心と温もりが広がっていく。

「……リゼリア」

名前を呼ばれる。

それだけで、心がほどける。

「いつ見ても、綺麗だ」

低く落ちる声に、思わず顔を伏せる。

「あまり……見ないでください」

小さく抗議すると、彼は楽しそうに笑った。

「もう、毎日見ているだろう」

その言葉に、くすぐったくなる。

けれど――それが嬉しいと思ってしまう自分がいる。

やがて、静かに距離が重なっていく。
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