愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる
プロローグ

『限りある化石燃料から、再生可能エネルギーへ。脱炭素社会を目指し、あらゆる分野の企業がこうしたフェーズに入って久しいですが、氷室(ひむろ)エナジーでもその核を担う取り組みを継続しています。そのひとつとして、より先進的な電気自動車やハイブリット車の開発を――』

 モデルルームのようにセンスよく整ったリビングのソファで、私は巨大テレビに映し出される動画を鑑賞していた。

 隔週で公開されるこの動画は、氷室エナジーが広報活動の一環で独自に製作しているものだ。

 画面に映るのは、『氷室エナジー』の若く麗しき社長、氷室遼河(りょうが)

 髪をかき上げるだけで無数の光が舞い散るかのように見える、芸能人顔負けに整った容姿。

 一見クールに見える彼が情熱的に会社のビジョンを語る姿には、選ばれし特別な人間のオーラがある。

 最初は、私なんかと住む世界が違う人だと思っていたんだけどな……。


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