愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる
実際に手に取ってその仕上がりを確認し、受け取りのサインをする。
最後に担当者がふたつの指輪をひとつのリングボックスに収納し、ひとまわり大きいギフトボックスとブランド名が入ったリボンで丁寧にラッピングしてくれた。
「ありがとうございました」
ジュエリーショップの店員に店の外まで丁寧に見送られながら、俺は柄にもなく胸を弾ませていた。
手に提げている小さな紙袋には、俺と小雪の夫婦の証が入っている。会社では無理だが、家ではこれを嵌めることにしないかと小雪に提案するつもりだ。
帰宅した俺は、とりあえず自室のクローゼットの棚に指輪をしまい込んだ。
すぐに小雪の前で披露したい気持ちもあるが、小さな指輪をうかつに箱から出してしまうと、どこかに置き忘れたりする可能性がある。
内側には俺と小雪の名前も刻印されているため、とりあえず来週の自宅撮影が終わるまではここに保管しておくのが安全だろう。
無事に撮影を終えた後、小雪の左手薬指に指輪を通すシーンを頭に思い描くと、どうしてか胸が詰まる。その理由である感情にもさすがに見当がつき始めていて、抑え込むのも難しい気がしている。
これまでの人生で、誰かに対してそんなふうに執着した経験がない俺は、彼女のささいな表情や、その口から出る言葉ひとつで、激しく心が揺さぶられる感覚に戸惑った。