愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる

 その週の日曜、小雪は実家で久しぶりにお父さんと会うと言って出かけて行った。そこには、お父さんの交際相手である笛子さんという女性も同席するそう。

『電話で話したお父さんがやけに緊張していたので、再婚の話かもしれません』

 小雪は嬉しそうにそう言っていた。帰ってきたら彼女からのいい報告があるだろう。

 俺が小雪と結婚したことで、彼女のお父さんや笛子さんが幸せになる道を選べたのだとしたら、少しは役に立てたと思っていいだろうか。

 彼女を見送った後、そんなことを考えながら、俺は俺で外出の準備を始める。

 小雪には『休日出勤だ』と伝えてあるため、一応出社用のスーツに身を包み、革靴を履く。

 しかし、向かった先は会社ではない。二カ月前に頼んでいた指輪が出来上がったので、依頼したジュエリーショップに受け取りに行くのだ。

「氷室様、お待ちしておりました。どうぞお手に取ってご確認ください」

 店の奥の個室に通された俺は、さっそく完成した指輪と対面していた。

 俺のサイズのもの指輪がひとつと、小雪用の華奢なサイズのものがひとつ。内側には婚姻届を提出した日時と、夫婦の名前がアルファベットで刻印されている。

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