愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる
守られた約束と破られた約束
日曜日の昼間。久々に帰った自宅で、父とその恋人の女性と対面した。
私は以前彼女を見かけたことがあったので驚きはなく、やっぱりそうだよね、という微笑ましい気持ちだった。
ダイニングテーブルには父が頼んでくれたお寿司が並び、私はお茶を淹れた。
食事の準備が整ったところで、がちがちに緊張している父が、咳払いをしてから話し出す。
「小雪、こちら、同じ会社で配車の仕事をしてくれている事務員の三島笛子さんだ」
「はじめまして、三島です。といっても、小雪さんとは一度顔を合わせているわね。あの時は逃げたりしてごめんなさい」
辺りが暗い中で見た時も美人だと思ったけれど、こうして明るい部屋で見つめてみると、綺麗なだけでなくとても落ち着いた雰囲気で感じのよさそうな人だ。
「いえ。こちらこそ、せっかく父に会いに来てくださったのに、驚かせてしまってすみません。改めまして、氷室小雪です。父がいつもお世話になっています」
「……そうか。きみたちはうちの前で会っていたんだったな」
バレンタインの日、笛子さんが落としたチョコを届けたのは私なので、父にもその時の状況は話していた。