愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる

 恋人からのプレゼントを娘に拾われてしまい、父はほんの少し気まずそうだったけれど、『ありがとう。世話をかけたな』と言って、彼女からのメッセージカードを手に取った。

 ふたつ折りのそれを開いて、私はいつまででも待ちます――という笛子さんからのメッセージを読んだ時の父は、私がそばにいるのを忘れてしまったかのように、切なげな大人の男の人の顔をしていた。

 あの日、契約結婚については改めて返事をすると遼河さんに約束していたものの、やはり前向きに考えてみようと、父を見ていて自然と覚悟が決まった。

「それでな、小雪」

 父が、ゴホンと咳払いをした。ますます緊張感の滲んだその仕草で、なにを言われるのかなんとなく理解する。

「お父さんと笛子さんなんだが、できれば一緒になりたいと思ってる。しかし、お母さんのこともあるから、娘のお前が反対するならその気持ちを尊重して、籍を入れることにはこだわらない」
「私たちはいい大人だし、事実婚という選択肢もありだって前々から話し合っていたわ。だから、どうか遠慮しないで小雪さん正直な気持ちを聞かせてほしいの」

 父と笛子さんからの視線を一身に受け、これから私がする発言はかなり責任重大……と緊張してくる。

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