愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる

 その後、話題が広報部の自宅撮影のことに及ぶと、万が一私の私物があった場合は新町さんに片付けてもらうという話をした後で、こうも言っていた。

『本当は妻の持ち物を他の男に触らせたくなんてないが、緊急の場合は許してくれ』

 ためらいも照れもなく口にしていたから、きっと深い意味はないのだと思う。でも、まるで独占欲のようにも聞こえて、私はつい過剰に意識してしまった。

 そんなことが続いていたから、少し淡い期待を抱いてしまっているのかもしれない。

 私と遼河さんの始まりはたとえ気持を排除した契約結婚だったとしても、もしかしたら本物の夫婦のようになれるかもしれないって。

「そういえば、今日はまず小雪の許可を得なければと思って氷室くんを呼ばなかったが、次回は四人で集まろう。彼にも伝えておいてくれ」

 ちょうど遼河さんのことを考えていたタイミングで彼の名前を出され、どきりとした。とはいえ、彼も父と笛子さんのことは気にしていたから、きっと承諾してくれるだろう。

「わかった。帰ったら言っておくね」
「小雪さんの旦那様、素敵な方よね。私、出演なさってる動画をいくつか見たことあるわ。すっごくイケメンだった」

 笛子さんが冷やかすような口調で言うので、思わず頬が熱くなる。

 以前はあの綺麗な顔立ちを近寄りがたいと感じていたのに、今は単純にカッコいいなと思うことも増えていたから。

< 119 / 206 >

この作品をシェア

pagetop