愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる

「でもさ、小雪ばっかり頑張るんじゃさすがに疲れるじゃん だから、時々は社長に屈んでもらっても全然いいと思う。それに社長だって、小雪に甘えられたいんじゃない?」

 にやにやしながら私の顔を覗き込んできた琉美。

 言われてみれば、遼河さんは私が消極的だったり、言いたいことを飲み込んだりする時はやや厳しめにに私を諭してしっかりと大切なことを気づかせてくれるけれど、それ以外に関しては、基本的に甘々だ。

 出会ったばかりの頃に比べたら、クールな言動を探す方が大変になったくらい。

「そうかな……そうだったら、うれしいけど」
「絶対そうだって~! ねえ、せっかく泊まりに来たんだから鹿とか鬼とかの話はもういいよ。それより、南房総のヴィラで過ごした甘い夜について詳しく教えて~」

 どうやら、悩み相談の前にちらっとデートの話をしたのをしっかり覚えていたらしい。

 こうなると恥ずかしいから、わざとサラッと流していたんだけどな……。

「る、琉美……酔ってるでしょ」
「ふふっ。だって、小雪が泊まりに来てくれるなんて嬉しいんだもん。そのヴィラってシアタールーム付きだったんでしょ? も~、そんなのいちゃいちゃし放題じゃん」
「ま、真面目に映画を見てました!」

 本当は肩を抱かれたし、シアタールームでない場所で、いちゃいちゃどころではない濃密な時間があったけれど……。

 あの幸せなひとときは私と遼河さんだけのものにしておきたくて、琉美の追及を必死でかわすのだった。

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