愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる
「おふたりともとても素敵でしたよ。しかし、元を辿れば誰のおかげで結ばれたんでしたっけ?」
その時、ソファの背後に近づいてきたのは、したり顔をした新町さんだ。
「今、この雰囲気でそれを言うか?」
遼河さんがあからさまにげんなりした顔を作ったので、私はクスクス笑う。
まったくこのふたりは、いつも本当に仲がいい。
「社長が僕の功績をまったく称えてくれないからでしょう。仲真さんというダイヤの原石を見つけてきたのは誰です? 結婚指輪をオーダーしたのは?」
「あえて言わなくたってわかってる。お前には感謝してるよ」
「私からも、お礼を言わせてください。新町さん、いつもありがとうございます」
「どういたしまして、仲真さん」
「俺を無視するな」
遼河さんの鋭い突っ込みを、新町さんは真顔で完全スルー。
ふたりの漫才のようなやり取りにますます肩を揺らして笑っていると、新町さんが不意にゴホンと咳払いをした。
「さて、おふたりにはさらに朗報です。例のパーティーで、鬼瓦専務に渡す手土産の準備が着々と整ってきています」
手土産……?
いったいなんのことだろう。新町さんの言い方から察するに、文字通りの意味ではなさそうだけれど。
「やっと尻尾を出したか」
「ええ。彼も年貢の納め時です」
遼河さんがにやりと口角を上げると、新町さんも意味深な笑みで応える。
「あの、なんの話ですか……?」
「仲真さんを傷つけた鬼を懲らしめる話です」
「ま、当日を楽しみにしてろ」
ふたりともハッキリしたことは教えてくれず、謎は深まるばかり。そのうち広報部の撮影メンバーも後片付けを終え、新町さんと共に我が家を後にした。