愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる

 ちなみに広報部の小鹿美羽は、あの動画を撮影した直後、会社に退職願を出した。

 彼女と親しかった広報部の社員によると、小鹿の野望は相変わらず社長夫人になることらしい。

 しかし、俺にはすでに小雪という妻がいてつけ入る隙もなさそうだとようやく気付いて、狙いを別の人間に定めることにしたようだ。

 次のターゲットになる相手には同情を禁じ得ないが、もはや部下でもない小鹿は赤の他人。勝手にやってくれという心境である。

 会場に着き、主催者の乾杯の挨拶でパーティーの幕が上がると、面識のあるなしにかかわらず、俺たち夫婦は色々なゲストから声を掛けられた。

 というのも、彼らは先月配信された氷室エクスプレス――小雪と一緒に出演したあの回はたちまち再生回数が伸び、ネットニュースで取り上げられるほどの反響だった――を見てくれていたからだ。

 あの動画の中で、自分の弱点を理解しながらも前向きに成長しようと努力する小雪の姿に、多くの人が好感を抱いてくれたようだ。

< 194 / 206 >

この作品をシェア

pagetop