愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる

「お疲れ様です。私になにかご用でしょうか?」
「ええ。食事が済んでからで構いませんので、社長室においでいただけますか? 氷室社長がお呼びですので」

 社長が私を……?

 呼び出される理由がまったく思い当たらないので困惑した。

「仲真さんにとって、決して悪くない話だとは思いますよ。それでは後ほど、お待ちしています」

 新町さんは人の好さそうな笑みを残し、社員食堂から出ていく。

 悪くない話って、なんだろう。どちらかというと怒られるのではと想像していたので、ますます頭の中が混乱する。

 とりあえず、あまりお待たせするわけにはいかないよね……。

 食事が済んでからでいいととは言われたものの、気になってゆっくり食事なんてできない。

 昼休みはまだ四十分ほど残っていたものの、私は急いでハート形のハンバーグを平らげると、食器を下げて食堂を出る。

 それから社長の前で粗相がないよう一応化粧室に寄って身だしなみを整え、上階へ向かうエレベーターに乗り込んだ。

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