偽王子と、甘い偽恋
「詳しいことは、僕もわからなくて。何も話せなくてごめんなさい。でも、お客様には聞かれたら話してもいいよって言われていたので、お伝えしておきますね」
そう言われ、それから自分が何をしていたのかは分からない。
どうやって会社に戻り、どうやって仕事をこなしていたのかも。
私の頭の中は、臣くんが仕事を辞めたという事実だけが埋め尽くしていた。
どうして、そんなに私の元から姿を消そうとするのだろう。
会えたら話したいことが、たくさんあった。
「いつ帰ってくるの?」とか「今はどうしてるの?」とか。
…今なら素直になって、「早く帰ってきて」って言いたかった。
一人の部屋が、シングルベッドが、いつも使っているローテーブルが、あんなに広いなんて知らなかった。テレビの音だけが響く部屋が、あんなに寂しいものだなんて知らなかった。
以前までは当たり前だったことが、今はひどく空虚に感じられる。
言い合いをしてうるさいくらいが心地よかった。ベランダから漂う煙草の匂いがしないことが、たまらなく寂しい。シングルベッドで二人で眠って「狭い」と文句を言い合えないことが、こんなにも切ない。
臣くんをこんなにも恋しいと思う日が来るなんて、思ってもみなかった。
これが、恋焦がれるということだったんだって、初めて知った。
そう言われ、それから自分が何をしていたのかは分からない。
どうやって会社に戻り、どうやって仕事をこなしていたのかも。
私の頭の中は、臣くんが仕事を辞めたという事実だけが埋め尽くしていた。
どうして、そんなに私の元から姿を消そうとするのだろう。
会えたら話したいことが、たくさんあった。
「いつ帰ってくるの?」とか「今はどうしてるの?」とか。
…今なら素直になって、「早く帰ってきて」って言いたかった。
一人の部屋が、シングルベッドが、いつも使っているローテーブルが、あんなに広いなんて知らなかった。テレビの音だけが響く部屋が、あんなに寂しいものだなんて知らなかった。
以前までは当たり前だったことが、今はひどく空虚に感じられる。
言い合いをしてうるさいくらいが心地よかった。ベランダから漂う煙草の匂いがしないことが、たまらなく寂しい。シングルベッドで二人で眠って「狭い」と文句を言い合えないことが、こんなにも切ない。
臣くんをこんなにも恋しいと思う日が来るなんて、思ってもみなかった。
これが、恋焦がれるということだったんだって、初めて知った。