偽王子と、甘い偽恋
偽王子の正体は。
 そんなメッセージを見て、首を傾げた金曜日の夜だった。

 もうあと一時間後には、その時がくる。律儀にテレビ前で待機している私だが、言いたいことはもちろんある。

 この男はこんな連絡をよこして、もし私に明日予定があって、家に居なかったらどうするつもりだったんだ。そう文句を言いたかったけれど、まずは«今は、どこにいるの!?»と返信を送った。だけど、案の定それには未読無視。

 本当に勝手な男に腹が立つ。

 そうは言っても、惚れた弱みとはこういうことを言うのだろうか。こうして彼の為なら何がなんでも時間を作り、受け入れてしまうのは。

 テレビに一体何が映るのか。私はまだ何も知らない。

 臣くんのすることはいつも突発的で、予測がつかない。

 もうすぐ彼が帰ってこなくなって、一か月が経とうとしていた。臣くんの匂いもしなくなって、ようやく元の一人暮らしに戻ろうとしていたのに。

 テレビ台の前に置いてあるデジタル時計が、もうすぐ十四時を示す。
 そろそろだと、リモコンを手に取りテレビをつけた。

 その時、画面に映っていたのは昼ドラか、過去の再放送か、情報番組かといった程度で、仕方なくそのまま情報番組を流していた。

 番組内では、この後十四時から記者会見がどうとかこうとか騒いでいる。

 どれも臣くんとは繋がらない。尚更、テレビを見てという言葉の意味が理解できなかった。
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