初恋が始まるとき。
 苛立ちを感じつつも仮にも先輩な人を叩いたり(というか、人を叩いてはいけない)、貶したり(人を貶してはいけない)、冷めた目で見てはいけないと我慢をしているのだけれど、どうしても渋谷さん相手には我慢がきかず、冷めた表情では見てしまう。

 計算を終えてさっさと指定金額を持ってくるのだけど、その際どうしても目が合って、思わず私の嫌悪感オーラが出てしまうのだと思う。

 そんな私を見て何故か楽しそうにしているこの先輩。
 そんなところも嫌だ。


「ありがとう。って、何で毎度そんなごみを見るような目で見てくんの?男嫌いにしてももう少し他には隠せてるだろ」

「渋谷さんには本能的に…」

「俺が特別ってこと?」

「まあ、ある意味そうかもですね」

「なにそれ。すっげぇいいな」

「どうポジティブに捉えたらそうなるのか、頭の中開いて考えを見てみたいのですが」

「優菜ちゃんのこと常に考えてるよ」


 今は仕事中だから仕事の事を考えろよ、なんて野暮なツッコミはしない方がよさそうだ。また変に絡まれそうだし。

 私の表情に渋谷さんが少し笑うと、ようやくそこで距離を取ってくれ、私も一息吐く。

 普通に会話を試みているが、どうしても男性と向かい合って話すことにストレスがたまる。

 私の男性嫌いにこの人が関係のないことはわかっているのだけれど、それでも過去の記憶や感じたことは強く根付いていて、男性に対する嫌悪感は中々治ってはくれない。
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