初恋が始まるとき。
 コンビニエンスストアに到着すると、渋谷さんが籠を持って私が必要な物を入れるのを待ってくれていた。


「あの、渋谷さん?」

「ん?」

「自分の物は自分で買うので、私の後をついてくるのはやめてくれませんか」


 これから下着なども買いたいため、それを後ろから見られているのは気まずい。歯ブラシ程度の物だったらいいと一緒に入れるけれど、コンビニエンスストアの下着などどれも一緒だとは言え、こんなの履いているのかと思われたくはない。

 渋谷さんは私の発言に首を傾げていて理解してなさそうだった。


「何で?一緒に買えばよくね?払うよ、俺」

「いいから!女性は見られたくない物も多いんです!」

「ああ、パンツか。いいのに」

「この…!」


 堂々とセクハラ発言とノンデリ発言を同時にした男はその場を離れ飲み物のコーナーを見に行った。

 その間に下着と靴下と、トラベルセットを購入しレジに向かった。
 レジを通してくれている間に渋谷さんの姿を探していると、先に会計を済ませ、外の喫煙所で煙草を吸っているのが見えた。

 その姿を見ながらも電子決済で会計を済ませ外に出る。


「煙草、吸ってたんですね」

「まあ。あんまり人前では吸わないようにしてるけど」


 私が来たタイミングで煙草を消し、そのまままた来た道を戻る。

 煙草を吸っている事なんて知らなかったから、何だか意外な所を見た様な気がした。
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