林檎 -ringo- ①

プロローグ

4月、桜と嵐が舞う季節。


理華は、中学2年生になった。


今日は始業式、そしてクラス替えの発表もある。


理華はちょっと緊張していた。


「いってきまーす!」
気合いで家を出て、学校まで歩いているうちに
徐々に不安が押し寄せる。


「どうか、いつメンと同じクラスになれますように...。」


なぜなら、
中学1年生のとき、他のクラスには
いじわるで怖そうな子がいた。


廊下を歩いていると
睨みつけてきたり、ぶつかってきたりする。


「間違ってもあんな子たちと同じクラスなんて...
 ぜっっったいに嫌!!」


私の通学路の辺りには木と田んぼしかない。
そんな田舎道を歩きながら


誰もいないのをいいことに
大声で叫んでしまった。


学校に着くと、校門の前に人だかりができていた。


その様子で察するに、
2年生のクラスが発表されているみたい。


「あ、」

恐る恐る自分の名前を探すと、
2年1組の所に自分の名前を見つけた。
それに、親友の舞子と紗羅の名前も。



「よかった〜〜〜っ」



そういえば聞いたことがある。

学校内でトラブルを起こさないために、
仲のいい子同士で同じクラスにする...みたいな噂を。


とりあえず一安心。
孤立する心配はなさそう。



なんだか、ちょっと慣れない景色。
廊下の螺旋階段を上がって
2階の自分の教室を探した。



「2年1組は、ここか。」



教室の扉をガラッと開けると、
親友の舞子と紗羅がいた。



私を見るなり、2人が走ってきた



「あ、理華ーー!!また同じクラスだよ!マジでよかったー!!」


舞子が嬉しそうに声をかける。


「うん、ほんっとに良かった!私だけ違ったらどうしようかと思ったよ…。舞子も紗羅も、ほんとありがとう。
2年生、めっちゃ楽しもうね!」


「てか理華、時間ギリギリじゃん!もうホームルーム始まるよ?」


紗羅が教えてくれるまで気づかなかった。
時刻は、もう8時半を回っていた。


チャイムが鳴ると、
すぐに担任の先生が入ってきた。


「1組の担任の横川です。
 早速だが、机に名前のシールが貼ってあるので
 その席に座れ。まあ、男女別の名簿順だか。」


ずいぶんドライな印象の先生だ。
いきなり入ってくるなり、指示してくるんだから。



言われた通りに自分の座席を探す。



名簿順だから…ここか。
前から3番目、真ん中列の席。



「あれ?理華も舞子も、席近くない?」


紗羅の言った通り、
私たちは奇跡的に縦に並びの席だった。


すごい、としか言いようがない。


中2生活、めちゃくちゃ楽しくなりそうな予感…!


期待に心が弾む。




そして隣の席は、テニス部の草野皓太くん。


同じクラスにはなったことはないけど、
たまにテニスコートで見かける。



ちょっとかっこいい、



ような気がする。


話してみたらどうなんだろう、

仲良くなれるといいな。



草野くんの後ろの席は、水嶋星くん。
水嶋くんもテニス部らしいけど、話したことない。


でも、水嶋くんもちょっとだけかっこいい、




ような気がする。







「ってことは、うちら班も一緒ってことだよね?
 マジで嬉しい!てか、皓太も同じ班かよ?
 盛り上げ係よろしく!」



舞子と皓太は幼馴染らしく、
小さい頃から一緒に遊んだりしていたらしい。



「はあ?俺そんな盛り上げられねーから!
 それよりも星のほうが盛り上げてくれるもんな。」



「いや…、俺そんなんじゃないから…。」


水嶋くんは、ちょっと困ってた。


草野くんと違って、クールで大人しい感じなんだな。


「まあひとまず、おもろいメンバーと同じ班で良かったわ。最高すぎるでしょ!」


舞子が楽しそうに話す。


「ホントだよ、3人の絆の力でしかないね!」

と、私も続ける。






「てか、ウチらの友情は永久不滅だからね!!」



紗羅が力強く、私たちに伝えてくれたこの言葉。



その時の私はすごく嬉しかった。



その言葉を、私は信じたかった。



本当に永久不滅だったら。





良かったのにね…。



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